2011 Fiscal Year Research-status Report
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23560112
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
奥山 栄樹 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80177188)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 精密位置決め、加工計測 |
Research Abstract |
近年,加工技術の進歩によりアスペクト比の高い深穴や深溝の加工が行われているが,その内部の粗さ等の形状の測定は困難である.そこで,細管内の粗さを測定することを目的として,従来の粗さ計の差動トランスに換わる先端加工光ファイバと円柱状反射鏡を使用した新しいセンサを開発し,その基本的な性能を調べた.新しいセンサでは、管内の表面粗さを検出する為に,接触式のカンチレバーがキャリッジに取り付けられている.カンチレバーには反射鏡が取り付けられており,管内の表面粗さに応じて上下する.これに先端加工ファイバを通ってきた光を照射し,その反射光を同じファイバで拾い,管外の光センサに持っていく.反射鏡を平面でなく円柱状とすることによって,反射鏡の上下の信号すなわち表面粗さを光量の変化として光センサで捉えることができる.新しいセンサの性能を調べる為に装置を試作した。カンチレバーの根元にあるV溝をキャリッジのナイフエッジに乗せた.カンチレバーの先端付近に反射鏡を取り付けた.反射鏡としては,直径が125μmの光ファイバの側面に,Crを蒸着させたものを用いた.キャリッジの上部にけがき線を引き,先端加工ファイバを固定した.これにより,カンチレバーの上下運動を光量変化として捉えることができる.試作した装置を用い、ノイズ、変位と出力の関係等を調べた。その結果,1秒以内の短い周期でみた時,約0.005V程度のノイズが乗っていることがわかった.測定範囲は4.5μm,ノイズをもとに考えると分解能は約13nmといえることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「目的」では、「本研究ではφ0.5、軸方向長さ1000mmの細管内の任意位置の表面粗さを非破壊で測定可能なシステムを開発することを目的として行う。本システムはスタイラスを用いた触針式でスタイラスの高さ方向変位をファイバを用いて読み取る新しい検出方式を用いる。」と記載している。 また、「研究計画・方法」では、「1年目は、基本的な部分を固めるため、スタイラスの変位を先端レンズファイバで検出する部分の試作、評価を行う。検出部を試作し、スタイラスの高さ方向変位と出力の校正、適切な反射鏡の検討などを中心に行う。」と記載している。 1年目を終えた時点で、研究計画・方法に記載したとおりの手順で順当に進んでおり、所期の目的の50%程度を達成したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、実際の管内の粗さを測定するシステムを試作し、細管内粗さの測定を行う。また、生産現場での測定を想定し、スキッド等を試作、スタイラス退避機構等の試作、検討等を行う。 具体的には、スタイラスをキャリッジに取り付ける。キャリッジはスキッドとして機能する。スタイラスのチップ上に円筒状の反射鏡を置く。キャリッジを通した先端レンズファイバからこの円筒状反射鏡に光を照射するようにする。スタイラスを軸方向に走査し、細管内の表面粗さを測定する。また、測定した細管を軸方向に分割し、これを市販の表面粗さ測定器で測定し、提案する細管内表面粗さ測定器と比較検討する。 また、基本構想では、スキッドを円筒形キャピラリの軸方向に異なる2か所につけ、また上部にバネ状の脚をつけスキッドを円筒内部に押しつける形をしているが、これと異なる組み合わせのスキッドも試作し、キャピラリ周りを細管内表面粗さ測定に適した形にする。 さらに、表面粗さの測定前に、スタイラスを細管内の適当な測定位置に持っていく際には、スタイラスが被測定面に接触せずに移動することが望ましい。そのためにスタイラスの退避機構を試作する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
キャリッジを作成するためにこれまでは径1~2mm程度の丸棒をフライス等で切削する方法を試みてきたが、精度よく作ることが困難であった。次年度は、3Dプリンタ(購入予定)を用いてキャリッジの製作を行う予定である。 また、これまではファイバの接続部分にコネクタを用いていたが、光量が変化しやすく出力が不安定になりやすいためメカニカルスプライス(購入予定)を用い出力の安定化を図る。 他には、光学部品、電子部品等が主な消耗品であり、また、研究協力者との打ち合わせ旅費、円筒形反射鏡の蒸着等のための研究補助に科研費を使用予定である。
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