2013 Fiscal Year Annual Research Report
親和性の高い雰囲気におけるレーザー誘起反応を利用した高硬度材料の加工
Project/Area Number |
23560115
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中本 剛 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30198262)
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Keywords | ダイヤモンド / 鉄粉末 / レーザービーム / 特殊加工 / 熱化学反応 / 黒鉛化 / サファイア / 除去加工 |
Research Abstract |
ダイヤモンドは工業上、有用な材料であるが、非常に硬度が高いために、その加工は困難である。ところでダイヤモンドは鉄と化学的に親和性が高く、特に高温下ではダイヤモンドの黒鉛化や炭素原子の鉄中への拡散などの熱化学反応が生じやすい。本研究では,この現象を利用してダイヤモンドを加工することを目的としている。本研究の方法を以下に述べる。まず、鉄粉末中にダイヤモンドを埋め込む。鉄粉末とダイヤモンドの間にダイヤモンドと親和性の低い材料でできたマスクを置いてダイヤモンドの所望の部分のみを鉄粉末を接触させる。YAGレーザービームにより鉄粉末の表面を加熱する。これにより鉄とダイヤモンドの接触面が高温となり、熱化学反応が誘起されてダイヤモンドの除去加工が行われる。 実験の結果、レーザーの照射時間が増すにつれてレーザービーム照射点における加工深さが大きくなり、加工穴は、すり鉢形状となってしまった。そこで、焦点をずらして鉄粉末のできるだけ広い範囲を加熱することによって、できるだけ一様に加工されるようにした。 一方、ダイヤモンドを鉄粉末中で加工する際の加工部の温度測定を行った.金属粉末をダイヤモンドのかわりに設置して、レーザー照射を行った。その結果、加工部の温度はチタンとクロムの融点の間の1700℃から1800℃であった。この温度はダイヤモンドが黒鉛化する温度よりも十分に高い。さらに,加工中にダイヤモンドと接触していた鉄粉末について走査型電子顕微鏡と電子プローブ分析によって観察を行った。その結果からダイヤモンドが直接、黒鉛化して、鉄に密着したと推定された。 ダイヤモンドとは別に、サファイアで鉄系材料やガラスを切削し、そのときに生じる摩耗によってサファイアを加工することを試みた。加工量は鉄系材料のときに大きく,加工面粗さはガラスのときのほうが良好であった。
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Research Products
(3 results)