2012 Fiscal Year Research-status Report
力覚による援用を利用した工作機械操作インタフェイスの開発
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23560117
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
森重 功一 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (90303015)
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Keywords | 工作機械 / 生産工学 / 力覚呈示装置 / インタフェイス / 5軸制御加工 / CAD/CAM |
Research Abstract |
本研究は、工作機械を操作するための新しいマンマシン・インタフェイスとして、バーチャルリアリティの分野で開発され、普及が進みつつある力覚呈示装置を利用した機能の開発を目指している。2年目となる平成24年度は、以下の項目について研究を行った。 ○手振れ補正機能の実装: 開発している操作インタフェイス機能は、手動で操作するものであるため、手ぶれ等によって生じるノイズが、工具の動きに直接反映されてしまう。そのため、ディジタルフィルタを用いた工具経路のリアルタイムスージング機能を新たに実装した。開発したスムージング機能を利用することにより、手ぶれによる工具経路の乱れを軽減できることを確認した。さらに、加工シミュレーションの結果から、加工面性状が向上することも確認することができた。 ○工具と未切削部分の干渉回避: これまでのシステムでは、リアルタイムで形状が変化する除去形状と工具の有効切れ刃以外の部分の干渉を回避する機能が実装されていなかった。そこで、作業者が干渉回避を意識することなく、 安全に加工をできるように、工具の有効切れ刃以外の部分と除去形状の未切削部分との干渉を回避する機能を実装した。この干渉回避機能を実装することにより、作業者が意識することなく、干渉のない工具経路を生成できるようになった。 ○旋削加工用インタフェイスへの展開: 昨年度から、フライス系の工作機械だけでなく、旋削加工に対する力覚援用を利用したインタフェイスへの適用についても検討している。フライス加工用に導入した既存の力覚呈示装置を流用してはいるが、基本的なプログラムを実装し、出力されたデータを利用して、CNC旋盤で実際に加工することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に予定していた工作機械メーカとの共同研究が、リーマン・ショックや震災の影響によって中止となり、CNC装置や工作機械などが借用できなくなるなど、研究開始当初から大きな方向転換を余儀なくされた。しかしながら、力覚提示装置と計算機の周りの機能の開発に注力した結果、経路の最適化や力覚自由度の拡張、新機能の追加など、より本質的な課題を解決することができた。さらに、追加の課題として開始することになった旋削加工用インタフェイスについては、関係者からも注目されるようになってきており、今後の進展に手応えを感じるようになってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的のどおり、これまでの研究で開発した力覚呈示装置および計算機周辺の機能を、実際に多軸制御工作機械に接続して、最終的な目標である力覚提示装置と工作機械が連動した自由度の高い工作機械操作インタフェイスを実現したいと考えている。CNC装置や工作機械のメーカなどとの連携を模索しながら、力覚をさらに積極的に利用して工具を適切な加工に誘導する機能の開発や、旋削加工用のインタフェイス機能の拡充を進める予定である。特に、旋削加工用インタフェイスについては、国内のソフトウェアベンダと協力して、プログラムの開発を加速したいと考えている。また、多軸制御加工用CAMソフトウェアのインタフェイスとしての応用も有用ではないかという意見が、関係者から多数寄せられているため、そのような方向への展開も検討していきたい。平成25年度の予算使用計画は、以下のとおりである。 消耗品: 本年度は、ソフトウェアの開発と検証が中心となる。消耗品として、定常的に必要となる、計算機関係消耗品、切削工具、加工実験用ワックス材、立体造形機用消耗品を購入する。また、STL形式のCADデータの作成や、加工シミュレーションを行うために、3次元CADソフトウェアやシミュレーションソフトウェアのライセンスを更新する予定である。 旅費等: 国内旅費は、アルゴリズム設計やソフトウェア開発作業のための調査や、協力企業との研究打ち合わせ、国内で開催される各学会における成果発表のためである。 その他: その他は、研究成果を発表するための、国内で開催される学会や交際会議への参加費や、論文投稿のための費用として用いる。最終年度は、研究成果を発信することを想定して、成果発表のための費用を多めに計上している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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