2013 Fiscal Year Annual Research Report
熱塑性変形を利用したバルク金属ガラスの常温弾性率の制御技術開発
Project/Area Number |
23560121
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉川 高正 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10505902)
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Keywords | バルク金属ガラス / 熱塑性変形 / 弾性率 / 常温 / 結晶化 |
Research Abstract |
バルク金属ガラスに高温中での塑性変形(熱塑性変形)を加え,材料内部に微細な結晶粒を分散析出させることで,成形後の材料の常温におけるバネ特性(弾性係数)を変化させることが本研究の目的である.特に,熱塑性変形時の温度,変形速度(ひずみ速度),変形量(ひずみ量)と,常温復帰後の弾性係数との相関を調査する.効果的に弾性係数を制御できる条件を見出し,成形加工された部材各所においてバネ特性の異なる高強度バルク金属ガラス製機械部品に応用できる技術を開発するものである.平成24年度までに実施した試料の熱塑性変形時の条件制御システムおよび計測システムの構築に加え,平成25年度は遠焦点カメラによる高温炉中変形の観察計測のための電気炉の観察窓設置を行うとともに,総括に向けた研究を実施した. Zr55Al10Cu30Ni5バルク金属ガラスについて,塑性変形が容易になり始める380℃(653K)から,結晶化が容易に進行し,強度が低下しやすくなる420℃までの間で,ひずみ速度とひずみ量を変更して熱塑性変形させ,常温まで冷却したときのちの単軸引張負荷による変形挙動を調査した.常温でのひずみ計測はひずみゲージを用いて行い,縦弾性係数の変化に治具などのすべりによる誤差が生じないようにした.実験結果から,試料に熱塑性変形を加えたのち,常温に冷却した材料の縦弾性係数は,鋳放し材の平均値から若干ながら上昇するものと,平均的に20GPa程度低下する場合があることが確認された.上昇する場合は,破断ひずみが鋳放し材の2%程度から1%以下へと低下し,脆性的に強度が低下することが確認された.一方、調査された条件では偶発的に発生するために系統的な条件を見出すことはできなかったが,縦弾性係数が低下する場合では,破断ひずみに変化はなく,低い応力で大きなひずみを生じるしなやかな材料に変化することが確認された.
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