2012 Fiscal Year Research-status Report
フッ素化剤-シリコン界面反応によるシリコン表面の精密位置合わせ光転写形状創成加工
Project/Area Number |
23560123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
打越 純一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90273581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 瑞穂 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50157905)
川合 健太郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90514464)
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Keywords | フッ素化剤 / N-フルオロピリジニウム塩 / シリコン / エッチング / フォトエッチング / 創成加工 / 光転写 / 修正加工 |
Research Abstract |
本研究の目的は、シンクロトロン放射光用ミラーなどに用いられる単結晶シリコンミラーの形状創成加工を、フッ素化剤による光エッチング加工と、近赤外光干渉法を用いた光計測を組み合わせることで、極めて高い形状精度で行うことにある。シリコン表面にフッ素化剤を均一に塗布し、プロジェクターでパターンを投影することで光強度および照射時間に依存した光転写加工を行うことができる。この形状をシリコンに対して透明な波長1310nmの近赤外干渉計で測定し、測定結果に基づき高精度位置合わせをして形状修正加工を行うとともに、加工速度の温度依存性やシリコンの伝導型や面方位による影響なども調べ、フッ素化剤-シリコン界面反応過程の解明を行おうとしている。 フッ素化剤薄膜を塗布したシリコンにプロジェクターからの光を照射し、シリコン表面の電子を励起してフッ素化剤へ移動させ、シリコンとフッ素の化学反応を促進させて光転写加工を行った。 フッ素化剤を剥離し、走査型白色干渉顕微鏡を用いて加工形状の観察を行った。設計製作した近赤外干渉計の、光学系、測定プログラム、測定環境を改良して測定精度の向上を図り、シリコン平面の絶対形状測定を行った。 恒温プレートを用いてシリコンとフッ素化剤の温度を制御し、加工速度の温度依存性、光強度依存性、照射時間依存性、フッ素化剤膜厚依存性、シリコンの面方位依存性について広い範囲で調べるとともに走査型電子顕微鏡(SEM)で各条件でのマイクロラフネスを調べた。 短時間で、1ピクセル単位の光転写加工を行うために、高輝度DLPプロジェクター、縮小投影光学系、側方視顕微鏡を組み合わせた光転写加工装置を設計製作した。 フッ素化剤-シリコン界面反応過程を解明するため、加工後のフッ素化剤の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加工深さを制御するために、シリコンとフッ素化剤の温度を制御し、加工速度の温度依存性、光強度依存性およびRGB明度依存性、シリコンの伝導型依存性、シリコンの面方位依存性、光波長依存性、フッ素化剤膜厚依存性を調べた。 RGB明度の加工速度依存性を基に、パソコンでパワーポイントなどのソフトウエアを用いて任意の強度分布を持つパターンを作製し、プロジェクターと設計製作した縮小光学系で投影することで、1回の光照射で、深さ一定の平面や、三角形、円筒など任意断面の2次元形状、球面などの3次元形状の創成加工をすることができた。 作製した直径2.5mm、深さ35nmの球面の形状精度はPV値4nm、RMS値0.85nmであった。加工時間は1時間で、中心の光強度は330mW/cm2である。キセノンランプを用いた光強度依存性の実験において3w/cm2の光強度にすることで、30分で300nmのエッチング深さが可能なので、さらに短時間での加工を行うために高輝度のプロジェクターを使用した加工装置を設計製作した。 創成した3次元形状を測定するために設計製作した近赤外干渉計の光学系、測定プログラム、測定環境を改良することで、干渉縞ノイズ、測定時間、位相シフト誤差を低減して測定精度を向上させることができた。 高輝度DLPプロジェクターと縮小光学系を用いてシリコン表面に投影したパターンを精密に焦点合わせするとともに、光転写加工した1~数ピクセルの大きさのマークを高倍率で観察して精密位置合わせを行うために設計製作した側方視顕微鏡を光転写加工装置に組み込んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23、24年度に得られた結果を基にして形状修正加工を行う。フッ素化剤を塗布したシリコン表面にプロジェクターで任意の強度分布のパターンを投影照射し、近赤外干渉計を用いたシリコンの3 次元加工形状測定データに基づき、目標形状との差をキャンセルする修正加工を行うことで形状創成加工の高精度化を図る。 形状修正加工を行うためには1回目の加工で塗布したフッ素化剤を有機溶剤で剥離した後に再洗浄を行う必要がある。シリコン表面に残存するフッ素化剤のX線光電子分光(XPS)測定を行うとともに、残存したフッ素化剤を除去し、超清浄洗浄を行うプロセスを開発する。 シリコンの光転写加工面をSEM観察しマイクロラフネスを調べる。 シリコンの加工速度の温度依存性、光強度依存性、時間依存性、伝導型依存性、面方位依存性、光波長依存性、フッ素化剤膜厚依存性などを基に、フッ素化剤-シリコン界面反応過程の解明を行う。 シリコン表面に塗布したフッ素化剤は界面反応により分子中のフッ素が消費されるので加工速度は時間とともに低下すると考えられる。フッ素化剤をシリコン表面上で流すことで常に新しいフッ素化剤を供給し、加工速度を一定に保つとともに、加工速度の局所的な 変動を抑えてマイクロラフネスの低減を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。 次年度の研究費は、薬品類、光学部品の購入、旅費、論文掲載費に使用する。 なお、高輝度DLPプロジェクターは別予算で購入した。
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[Presentation] Optical property of random inverted-pyramid textures on Si surface by etching with N-fluoropyridinium salts
Author(s)
Masaki Otani, Junichi Uchikoshi, Kentaro Tsukamoto, Toshinori Hirano, Takabumi Nagai, Kenji Adachi, Kentaro Kawai, Kenta Arima, and Mizuho Morita
Organizer
PACIFIC RIM MEETING ON ELECTROCHEMICAL AND SOLID-STATE SCIENCE
Place of Presentation
Honolulu, Hawaii, U.S.A.
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