2011 Fiscal Year Research-status Report
酸化物系保護膜(Belag)の付着機構解明とアクティブ活用法の開発
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23560124
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
臼杵 年 島根大学, 総合理工学部, 教授 (10176670)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 切削加工 / Belag生成 / MQL |
Research Abstract |
Belag生成界面について継続調査を行った結果、切削開始10秒以内にベラーグ膜がアモルファス状に生成する。しかし、超硬P種では純鉄の薄い層を介してその上にFeOが堆積する状況で、Belag膜は生成していない。またコーティング工具で長時間(15分)切削した場合、FeOの集中による再結晶化が必ずしも発生していない部分もあり、再結晶化が広がっていく過程が観察できなかった。また短時間での摩耗面へのBelag元素の集中の原動力としては切削時に生じる熱起電力(微弱電圧)が関与しており、順方向に加電すると工具摩耗が減少し、逆方向で摩耗が大きくなる結果が得られた。さらにFeOの集中を防止する化合物としてMnS(もしくは他の硫化物)が有望である可能性が見出された。またコーティング膜の結晶方位の影響については、異なる結晶方位の膜で切削途中まで全く同じ摩耗進行を示し、最後は方位によるコーティング膜の特性に起因すると考えられる破壊で工具の寿命差を生じる結果が得られた。TEMによる界面状態の観察は未実施である。一方、ミスト加工については、帯電ミスト用の装置を作製して、標準炭素鋼に対して加工を行ったが、加工条件等が適切でなったためか効果が得られなかった。継続して検討する。また、高速切削した場合に、現行のミスト供給方法では、回転工具の風圧にてミストが吹き飛ばされ、工具表面に吸着していないことが判明した。加工現場での使用を考慮した供給方法(ノズル形状等)を検討する必要があることがわかり、検討項目の追加を行って検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用工作機械のトラブルにより、分析用サンプルの作成ができなくて、その分当初計画より遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の点について調査を進めていく。(1)拡散を遅延する化合物として硫化物に着目して、その添加材料を切削した工具のTEM観察を行い、効果等の確認を行っていく。(2)通電効果についても、微弱電圧で効果があり、Vオーダーでは効果がなくなる現象の調査を行う。(3)ミスト加工について、確実に付着させられる供給ノズルについて検討する。(4)それをもとに、当初の計画にしがって、帯電および最適ミネラル成分、溶存酸素等の検討を鋼系材料について行う。(5)被削材をチタン合金、超耐熱合金にして、切削界面での酸化物生成を目標に検討を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度、外部委託する予定であったTEM観察が工作機械のトラブルで試料作成ができなかったため、それを次年度の計画に上乗せして合わせて行う予定である。具体的使用計画は、以下の通りである。平成24年度使用予定額2,477千円消耗品 工具 100千円、被削材 350千円、ミネラル水 13千円、 計 463千円 旅費 東京 89千円、福岡(九工大)78千円、新潟(燕三条)142千円、 計 309千円その他 工具分析委託 1,705千円、 計 1,705千円 合計 2,477千円
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