2012 Fiscal Year Research-status Report
酸化物系保護膜(Belag)の付着機構解明とアクティブ活用法の開発
Project/Area Number |
23560124
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
臼杵 年 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (10176670)
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Keywords | 切削加工 / Belag / 摩耗抑制 / 酸化物 / ミスト |
Research Abstract |
結晶方位によるBelag生成界面についてFE-SEMおよびTEMによる分析を行った。工具摩耗面の凝着状況の観察の結果、(111)面に比べて(200)面配向の方が凝着は少なかった。またTEM分析の結果、(111)面配向では、凝着物(Belag)は非晶質で工具との凝着界面には反応層は観察されず原子配列の連続性も見られなかった。(200)面配向では、凝着物は結晶質であったが、界面には反応層および連続性は観察されなかった。このことから、Belagは反応層を介さず、Ti化合物の原子配列に合わせた原子間隔で原子間力によって工具表面に付着していることがわかった。また結晶方位により工具表面への凝着の程度に大きな違いを生じたので、継続して凝着抑制法という観点から調査を行っていく。さらにBelag生成におけるMnSの作用についてMnS添加のCa脱酸鋼を切削したコーティング工具のTEM分析を行った結果、工具-Belag界面の工具に接触しているBelag側にCaSの層が観察された。自由生成エネルギーからMnSがCaSに変化した可能性は十分考えられる。そしてCa脱酸鋼を切削した時にFeOの集中により拡散反応を生じた時間でもCaSの膜が安定しており、反応層は観察されなかった。このことからMnSの利用は有効であることが分かった。そこで、より積極的にこの硫化物を利用するために、工具表面に硫化物を導入(WPCおよび電子ビームを利用)した工具を試作し、その効果を工具としての使用に耐え得るかも含めて検討する。 一方、ミスト加工については、帯電ミスト用の装置を作製して、標準炭素鋼に対して加工を行ったが、まだ効果が得られていない。継続して検討する。センタースルー方式を含めて供給方法(ノズル形状等)を検討する。またミネラルミスト供給により、チタン合金では摩耗抑制効果が認められた。さらに追加実験を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする知見を得られている。またそれをもとに次への展開を含めた知見も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の点について調査を進めていく。 ①硫化物を工具表面に導入した工具の性能評価を行い、拡散を遅延する効果等の確認を行っていく。また同じに凝着の激しい材料の凝着抑制法としての効果も確認する。②通電効果についても、微弱電圧で効果があり、Vオーダーでは効果がなくなる現象の調査を行う。③ミスト加工について、確実に付着させられる供給法について検討する。④それをもとに、当初の計画にしがって、帯電および最適ミネラル成分等の検討を鋼系材料について行う。⑤被削材をチタン合金、超耐熱合金にして、切削界面での酸化物生成を目標に検討を行い、ミネラル水ミスト加工の凝着抑制効果を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度、外部委託したTEM観察が年度を越えたため、それを次年度の計画に上乗せして 合わせて行う予定である。 具体的使用計画は、以下の通りである。 平成25年度使用予定額1,927千円 消耗品 工具 75千円、被削材 240千円、 計 315千円 旅費 東京 78千円、大阪(関西大)53千円、 計 131千円 その他 工具分析委託 1,481千円、 計 1,481千円 合計 1,927千円
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Research Products
(1 results)