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2011 Fiscal Year Research-status Report

多層膜断面におけるナノ材料のセルフパターニングと樹脂表面への転写

Research Project

Project/Area Number 23560130
Research InstitutionTokyo Metropolitan University

Principal Investigator

金子 新  首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (30347273)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsナノ材料 / パターニング / コンタクトプリント
Research Abstract

今年度は,転写元パターンのベース材料とナノ材料の吸着特性,およびその転写性について実験的検討を行うとともに,コンタクトプリント用装置の設計および試作を行った. はじめに,基板とモールドにSi,ガラス,およびPDMSを用意し,細胞接着性タンパク質(フィブロネクチン)およびカーボンナノチューブ(CNT)を対象とした吸着特性について調査した.本研究では,フィブロネクチンをあらかじめ緩衝液中に分散させ,そのpHを調整したのちにガラスおよびPDMSを浸漬させ,両者の静電力により吸着を試みた.実験の結果,ガラスおよびPDMS表面で予測された等電点を考慮することで,フィブロネクチンが吸着することを確認できた.また,同様の手法によりカーボンナノチューブも吸着できることがわかった.このとき,フィブロネクチンおよびカーボンナノチューブの吸着量は,分散液の濃度,pH値,および浸漬時間によって制御可能であり,かつ一定の浸漬時間で吸着量が飽和することもわかった. 次いで,上記のナノ材料を吸着させた転写基板を用いて,別基板へのコンタクトプリントについて試みた.転写元(モールド)にPDMS,吸着材料をフィブロネクチンとし,スライドガラスへの転写を行った.フィブロネクチンは吸着状態の幾何形状(パターン)を維持したまま転写可能であり,その後の細胞接着実験によりタンパク質の機能も維持していることが確認できた.カーボンナノチューブについても同様の実験を行ったところ,吸着量に対して転写量が低く,加圧力などを調整する必要があることがわかった. 最後に,コンタクトプリント用の装置については,現有設備のZ軸ステージを改良してシステムを作製し,基本的な動作が可能であることを確認した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は,多層膜断面を用いたナノ材料の吸着と転写プロセスの基礎特性を明らかにするものである. 初年度は,主に作製パターンの応用先を見据え,ナノ材料として細胞接着性タンパク質カーボンナノチューブを採用し,その吸着・転写の基礎特性については一定の成果を得ることができた.特に,ナノ材料の分散液作製や吸着工程に関する条件選定,ならびに別基板への試験的転写については,その一部が研究計画上は次年度に実施予定であった内容も含めて十分な成果が得られた.すなわち,当該項目については,当初計画の目的を十分に達成できていると言える. また,コンタクトプリント装置の設計及び試作については,現有設備の改良によって当初計画よりも早い段階で基本システムを構築することができた.このことが上記の実験を計画よりも進めることができた理由である. 一方で,同じく初年度に計画していた多層膜断面パターンの作製に関する内容については,薄膜の作製条件の選定に当初より計画より時間を要してしまった.このため,全体計画には支障がでていないものの,当該項目に関しては目的の達成度は70%程度であると言える. 以上から,各研究項目でその進展に多少の差異が生じたものの,研究全体を考慮したとき,初年度はほぼ目的どおりの研究成果が達成されたものと考えられる.

Strategy for Future Research Activity

平成24年度(次年度)の研究計画では,多層膜断面パターンへのナノ材料のセルフパターニングと別基板への転写を予定している. この研究項目では,はじめに断面材料へのナノ材料の吸着特性をあらかじめ検討する必要があるが,初年度に既に一定の成果が得られている.一方で,多層膜断面パターンの作製については,初年度の計画内容より若干の遅れが生じているため,当該項目について重点的に進めることとする. 具体的には,Si系およびSiOx系の有機材料および無機材料を要素とする積層膜および断面パターン形成を行い,エッチングおよび機械加工で形成した断面部の評価を行い,プロセス条件と表面構造の関係を明らかにする.次いで,ナノ材料のセルフパターニングについては,前年度に明らかにした静電吸着法の応用を試みる.前年度に実証したものは,吸着面積がサブミリメートル程度であるため,作製した多層膜断面パターンの幅数μm以下の微小面積を対象とした吸着特性(吸着量,密度,形状精度)について実験的に調査・検討を行うこととする. 以上のような検討を行った後に,断面パターンから別基板へのナノ材料の転写について実施し,その転写精度について実験的検討を行う.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度の研究計画を実施するために,研究費は以下の(1)~(5)を主な使途とする.すなわち,(1)初年度に作製したコンタクトプリント装置の機能拡張,(2)多層膜のための薄膜作製装置と膜材料の準備,(3)断面パターン形成のためのエッチング装置の環境整備,(4)研究成果の学会・国際会議での発表,および(5)前記の(1)~(3)を実施するための実験補助者の雇用である. (1)については多層膜基板の垂直設置するための基板ホルダー(受注作製),およびコンタクトプリント時の水平方を検出するためのロードセル(力センサー)の購入を予定している.(2)については,初年度に引き続き現有設備である物理蒸着装置用の膜材料を購入するとともに,さらに厚膜を作製できる小型電気めっき装置の購入を予定している.(3)については,断面加工にエッチングを用いるが,そのエッチングパターン用のフォトマスクの依頼製作と購入を予定している.また,(4)については,初年度および次年度の研究成果を機械学会を中心とした国内学会,および精密工学国際会議(ICPE)などの関連国際学会で発表する旅費に充当する.(5)については,研究遂行のための実験補助者を雇用するので,その謝金に充当する.

  • Research Products

    (5 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] 微細構造化による安全安心な表面設計2011

    • Author(s)
      金子新,諸貫信行
    • Journal Title

      精密工学会誌

      Volume: 77 Pages: 1044-1049

  • [Presentation] CNT 担持粒子の作製と微細構造化に関する研究2011

    • Author(s)
      後藤竜也
    • Organizer
      2011年度精密工学会秋季大会学術講演会
    • Place of Presentation
      金沢
    • Year and Date
      2011年9月21日
  • [Presentation] 構造化粒子列上での神経細胞の培養に関する研究2011

    • Author(s)
      武田伊織
    • Organizer
      2011年度精密工学会秋季大会学術講演会
    • Place of Presentation
      金沢
    • Year and Date
      2011年9月21日
  • [Presentation] CNT Adsorption and Micro-patterning of Spherical Silica Particles2011

    • Author(s)
      後藤竜也
    • Organizer
      The 6th International Conference on Leading Edge Manufacturing in 21st Century
    • Place of Presentation
      埼玉
    • Year and Date
      2011年11月9日
  • [Presentation] Selective Cell-adhesion on Micro-structured Fine Particles2011

    • Author(s)
      武田伊織
    • Organizer
      4th international conference of asian society for precision engineering and nanotechnology
    • Place of Presentation
      香港
    • Year and Date
      2011年11月17日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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