2013 Fiscal Year Annual Research Report
多層膜断面におけるナノ材料のセルフパターニングと樹脂表面への転写
Project/Area Number |
23560130
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
金子 新 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (30347273)
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Keywords | 薄膜 / 転写 / ナノ材料 |
Research Abstract |
平成25年度に実施した主な研究内容は,①凹凸を設けたPDMSへの多層化薄膜の形成,②多層化薄膜(多層膜)のPDMS表面への密着性評価,③多層膜または微細構造から別基板への材料転写を試みた. PDMSに多層化薄膜を形成するために,スパッタ法と真空蒸着法の両者を検討した.前者によれば,一般的な基板材料と同様に,PDMSとの密着性が高い膜が得られる.しかし,飛来分子(成膜材料の分子)の運動エネルギが高いために,薄膜(金属)との熱膨張係数の差から,薄膜に大きな凹凸(しわ)が形成されてしまう.この凹凸(しわ)は多層化することで,さらに顕在化してしまう.膜厚を数10nm程度にするか,成膜速度を低下することで一定の防止効果は得られた.一方で,真空蒸着法では上記のような凹凸は形成されないが,スパッタ法に比べて膜質およびPDMSとの密着性が低い.その結果,同多層膜と別材料を接触させると,真空蒸着で作製した多層膜は簡単にPDMSから離型してしまう.PDMS上に密着性がよい多層膜を作製するためには,はじめにスパッタにより膜厚数10nmの薄膜を形成させた後に,所定の断面および材料をスパッタまたは真空蒸着で形成させることが良いとわかった. 次に微細構造および多層膜断面を利用したナノ材料の吸着と転写について行った.ポリピロールとOFPRの積層構造を用いて,細胞接着性タンパク質の部分的な吸着を試みた.タンパク質はポリピロールの側面への吸着が確認できた.また,ナノフィルタ上に堆積させたCNTはシリコーン樹脂に転写できたが,CNTの凝集化により断面形状に倣ったパターンにはならなかった.多層膜断面のパターンは形状精度の低さからナノ材料の転写は十分に確認できなかったが,Au薄膜にナノ薄膜(MPA-SAM)をあらかじめ形成した場合,そのナノ薄膜ごと基板に転写することに成功した.
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