2011 Fiscal Year Research-status Report
ボールエンドミルによる硬脆材料の切削加工に関する研究
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23560145
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
大野 威徳 津山工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (70509083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 隆 東京電機大学, 工学部, 教授 (20199855)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ボールエンドミル / 切れ刃稜形状 / 単結晶ダイヤモンド / 集束イオンビーム加工機 / 硬脆材料 / 脆性破壊 |
Research Abstract |
平成23年度は、主に以下の2点について成果が得られた。・ 単結晶ダイヤモンド平バイトを用いて、切れ刃稜形状が脆性破壊に及ぼす影響について基礎的な切削試験を実施した結果、振幅が増加するにつれ脆性破壊が促進されることが明らかになった。試験では、平バイトの主切れ刃稜に正弦波状の切れ刃を成型し、切れ刃の振幅が脆性破壊に及ぼす影響について観察した。工具は幅10ミクロンの主切れ刃稜に、周期2.2ミクロン、振幅0.5、1.0ミクロンの正弦波形状をFIB(集束イオンビーム加工機)を用いて成形した。試験では、被削材としてソーダライムガラス基板を用いて型削り切削を実施した。使用加工機のリニアステージ上に被削材を工具送りに対して0.5°傾斜させることで、工具の連続的な切込みを実現した。また、試験は切れ刃稜形状による影響のみを観察することを目的として乾式で切削を行っている。試験後、FIBおよびSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて各工具による仕上げ面の表面性状および断面を観察した。試験結果から、切れ刃稜の振幅が増加する場合、これに伴い切れ刃稜先端すなわち正弦波の頂点における曲率が増加し局所的な切込量の増減により切れ刃近傍の材料内部の応力分布が局所的に大きく変化し脆性破壊が促進されることが考察される。・ 次年度で実施する切削試験の条件設定および実験結果の評価を目的として、ボールエンドミル切削における切削厚さの数値計算手法の確立した。開発した手法は、任意の切れ刃形状を有するボールエンドミルについて切削過程における切れ刃稜線各点の移動軌跡を時系列に計算し、材料除去に寄与する前後の切れ刃稜点の位置から切削厚さを求めている。工具径、刃数、リード、捩れ角、および切れ刃稜形状などの工具形状を問わず、工具姿勢を含めた任意の切削条件における切削厚さの時間変化を求めることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に立案した研究計画の内本年度分の課題についてはほぼ実施できており、本試験研究はおおむね順調に推移しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
各年度とも以下のように実施予定。・平成24年度: 1.単結晶ダイヤモンド製円バイトによる切削試験を実施する。試験では、円バイトのノーズ曲率半径を変化させ、ノーズ曲率半径による脆性破壊への影響について明らかにする。ボールエンドミルの切れ刃稜に同一周期・振幅の正弦波形状を成形して切削試験を実施した場合、ノーズの曲率に応じて切れ刃稜近傍の応力状態が変化し、脆性破壊に影響を与えることが考えられる。ボールエンドミルによる切削試験を実施する前に、上記の影響を確認しボールエンドミルによる試験条件の検討を行う。以上については、平成24年12月までの完了を予定している。 2.切れ刃稜形状が変化した場合の切れ刃近傍の材料中の応力場を有限要素法で解析する。正弦波状切れ刃稜を有するダイヤモンド工具によりソーダライムガラスおよび超硬合金(JIS-K10)を型削り切削を実施すると想定して数値解析を実施し、実験結果と比較して、切れ刃稜形状が脆性破壊に及ぼす影響について明らかにしてゆく。数値解析は、研究実施機関で所有する三次元CADおよび解析ソフトを用いて実施する。以上については、平成24年度中通年で実施を予定している。・平成25年度: 1.単結晶ダイヤモンド製ボールエンドミルによる切削試験を実施する。前年度で得られた成果に基づき、実際にボールエンドミルにより曲面切削を実施し、切れ刃稜形状による脆性破壊への影響を明らかにする。以上については、平成25年9月末までの完了を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・物品費: 切削試験用工具(円バイト、平バイト、ボールエンドミル)を購入予定。・旅費: 学会発表(海外:6月、国内:9月、翌年3月)を予定。・謝金: FIB使用料(九州工業大学)としての出費を予定。・その他: 雑誌投稿(海外)、松村教授研究費として出費を予定。
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