2011 Fiscal Year Research-status Report
微細・複雑射出成形金型の可視化及び金型材料が関わる高分子分解ガス化抑制技術の開発
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23560146
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Research Institution | Gunma Prefectural Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
福島 祥夫 群馬県立産業技術センター, その他部局等, 研究員 (70310232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岩 広樹 群馬県立産業技術センター, その他部局等, 研究員 (10553480)
茂木 幸伸 群馬県立産業技術センター, その他部局等, 研究員 (20552558)
鈴木 崇 群馬県立産業技術センター, その他部局等, 研究員 (40196837)
瀧上 昭治 群馬大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70143203)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 射出成形 / 分解ガス / ガス焼け不良 / ガス収集 / 可視化 |
Research Abstract |
次世代自動車産業では、自動車の航続距離を極力伸ばすことを目的として、金属部品からより軽量なプラスチック部品へ変更し、車体総重量の軽減活動が盛んに行われるようになっている。更にプラスチック部品には、より微細で、より複雑な形状が求められているため、成形不良の問題も多くなっており、従来の成形技術の高度化が必須である。様々な成形不良があることは周知の事実であるが、本研究ではプラスチックから発生するガスが起因となる成形不良の内、ガスが高温高圧状態になった時に発生するガス焼けに注目し、その改善技術について、微細・複雑形状部の可視化と挙動分析技術の確立、高分子分解ガス化の機構解析と抑制技術の確立等で対応しようとしている。 既に、我々はプラスチックが分解ガス化する際の挙動について、金型等金属の触媒作用によりガス化が促進する傾向をつかんでおり、これらの詳細な挙動を解明することで成形不良を削減することが可能であるのではないかと考えている。 今年度は、実際の射出成形において発生する分解ガスを収集し、成分を分析する活動を中心に行った。ガスの収集装置を考案し、成形条件を変更しながら分解ガスの発生状況を検討した。その結果、ガス焼け後の成分には特有の成分が含まれていることが分かった。この性質を利用すれば、ガス焼けセンサー等の開発にも展開できると考えている。現在、査読論文を執筆中であるが、同時にガス収集装置、ガス焼けセンサーに関する特許申請も進めている。一方、金型内の可視化については来年度が中心となるが、可視化装置の基本構想図面は完成しており、H24年度以降において進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の成果という側面で考えると、分解ガス収集と分析に関する研究分野において、査読論文を執筆程度のデータや特許申請に関するアイデアがあり、おおむね満足する結果となった。これをもとに現在原著論文を執筆中であり、H24年度には投稿を予定している。具体的にはガス焼けが発生した時と発生しない時のガス成分が異なり、ガス焼け不良の程度によってもガス組成が異なっている。以上のような知見について論文をまとめる。このことは、ガス焼け不良の対策に有効な情報であると考えている。 一方、微細・複雑形状の可視化に関する研究分野において、当初は今年度中に金型を製作したかったが、分解ガスの知見をもとにした金型設計が望ましいと考えたため、分解ガスに関する研究を優先した。ただし、可視化金型製作に関する基本構想はできているため、H24年度当初より金型の製作に着手する予定である。更に、積極的な学会発表を行う方向であり、H24年6月のプラスチック成形加工学会をはじめとした学会での発表を予定している
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては可視化と分解ガスの抑制という観点から研究を行っているところであるが、ガス焼け不良の対策を行うためには、ガス分析を行いガスの特徴を把握することが研究の初期段階の重要な事項と考えた。そのため、今年度はガスの収集や分析に注力する方針をとった。そして、ガス分析の結果を金型製作に反映することで進めてきた。従って、次年度は微細・曲面というキーワードに沿って射出成形可視化金型の詳細設計と製作を積極的に進めていく方針である。まず、CAE解析によって微細・曲面に関する解析を行い、解析結果をもとにした金型を作成する。その後成形実験を行い、樹脂の流動挙動等を検討する。本報告書作成時点では金型の基本的な構想できているため、これに従い進めていく。同時に、ガス分析についても昨年度の知見を参考に、より多種のプラスチックを分析するため、今年度行った収集分析技術を水平展開する予定である。具体的には昨年度はPBT樹脂を中心にガス収集分析をおこなったが、他のプラスチックへの展開により樹脂材料によるガス成分の差異を見極めていく。更にはガスの抑制技術についても検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究経費の主たる部分は金型製作費に費やす予定である。可視化についてより複雑なレベルの可視化を目指すため、これらの物品に研究費を利用する。可視化金型に関する加工技術は高度なため、設計時点で極力低コストで加工できるような工夫も行い、研究費の有効活用を考えながら進めていく。 また、分析対象のプラスチックの種類を多くすることから、材料費や収集に利用する収集バックや配管等の消耗品にも支出する。
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