2011 Fiscal Year Research-status Report
新型打撃高圧装置の開発と動的圧縮下における潤滑油の高圧レオロジー評価
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23560160
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中村 裕一 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20164345)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | トライボロジー / 機械要素 / 物性実験 / 潤滑油 / 高圧力 |
Research Abstract |
研究目的はダイヤモンドアンビルセル型高圧発生装置(DAC)と打撃圧縮法を組み合わせたこれまでにない打撃高圧装置を開発して,転がり軸受などでミリ秒オーダーの瞬間的動的に圧縮,せん断される潤滑油の固化圧力,ガラス固化後のせん断応力など動的高圧レオロジーを機械要素で必要十分な3GPaまで評価することである.初年度の研究実績を「研究実施計画」に照らし,以下にまとめる. 1)打撃方式は円筒パイプガイド内を金属落体を重力で落下させる方式が広範囲に実験条件を設定できるので適切と判断して開発した.落下高さ,質量を変えて約300mm, 260gの条件で固化トラクショングリース中のアルミ球の大きな塑性変形が観測でき,打撃圧力発生性能を有することがわかった. 2)圧電衝撃センサーによる打撃高圧装置のピーク力までの衝撃時間は約130μ秒であったがDAC装置なしで直接センサーを衝撃した時間約40μ秒の約3倍となった.衝撃時間と圧力室のせん断ひずみからのせん断速度は1000/秒程度となった.衝撃力は約1.5kNとなったが直接打撃した力11kNの約1/8と小さくなった.これは打撃高圧装置内でいくつもの部品が直列に配置され,部品界面での力の吸収,弾性バネ効果などが考えられる. 3)打撃衝撃圧力を推定するため,衝撃実験と同じグリースで,従来のDACとルビー蛍光法による準静的実験を行い,圧力室厚さ減少量で圧力を推定する圧力較正図を構築した.比較のため準静的条件でのマイクロ金属球変形実験も行った. 4)トラクションリチウムグリース基油と転がり軸受用グリース基油(合成油)の高圧粘度を測定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の主な目標は,DACと打撃圧縮法を組み合わせたこれまでにない打撃高圧装置を開発して,潤滑油の動的高圧レオロジー評価法を確立することにあり,研究実績の概要からおおむね順調に進展していると言える.精度の改善,衝撃力の減少改善が課題として残る.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り平成24年度は平成23年度で確立した打撃高圧装置による動的高圧レオロジー評価法を用いて,実験計画を立て,標準的な油,新開発油,試作油で3GPaまでの広範囲に実験を行う.平成25年度は平成24年度で不十分な実験を行いつつ,さらにデータを蓄積,整理して,前回の科研費の準静的データと比較,文献との比較を行い,潤滑油の高圧レオロジー特性の圧縮時間依存性評価,モデル化および総括を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費,旅費,人件費・謝金,その他の配分はほぼ当初の計画通りの予定である.ただし,平成24年度の物品費は当初,マルチ入力データ収集システム一式で計画していたがデジタルオシロで代用できることがわかり,その代わりに新たな課題である精度の改善のため打撃専用DAC装置を設計,発注することにした.
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Research Products
(8 results)