2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560165
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
今戸 啓二 大分大学, 工学部, 教授 (80160050)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 機械要素 / 自己締結 / クラッチ / 軸継手 / 摩擦結合 |
Research Abstract |
ベルトの自己締結を理論的に解明し,実証するためのベルト式クラッチを試作して実験による確認を行った.実験では軸とベルトとの摩擦係数,ベルトとベルトとの摩擦係数,巻き付け回数をそれぞれ変化させ,自己締結状態を評価した.その結果,自己締結条件は理論式通りであることを確認した.原軸と従軸の軸芯がオフセットした状態での実験も行った.オフセット量を正確に測定する理論と治具を考案し,これまでより高い精度で実験できるようにした.原軸と従軸に角度センサを取り付け,通常角度センサの電圧信号を数値微分して求める角速度を,逆に積分した面積速度から求める手法を考案し,比較的高い精度で角速度が得られるようになった.実験的に得た角速度を元に,軸芯オフセットがある場合の従軸と原軸との角速度の理論的関係式を機構学的に解析した.理論式より求めた従軸側の角速度の時間的変化は,実験値と殆ど一致することを確認した.角速度の理論式より角加速度の理論式を求めた.角加速度の理論式より慣性モ-メントが分れば,ベルトに作用する動的張力が計算できるようになった.スチ-ルベルトを利用したベルト式クラッチの耐久試験機を試作し,原軸と従軸間に軸芯オフセットがある場合のベルトの疲労試験を行った.負荷トルクは電磁ブレ-キの一種であるパウダブレ-キを利用した.その結果,疲労試験中ベルトは滑ることなくトルクを伝え,主としてパワ-リング側でベルトは破断した.疲労寿命は軸芯オフセットが大きいほど短くなった.寿命低下の原因は,軸芯オフセットの増加に伴いベルトの動的張力変化が大きくなること,パワ-リング側でのベルトの固定点を中心としたベルト揺動角が増大することが原因であることを理論的に示した.ベルト式クラッチを応用し三輪車を試作し,自転車と同様に前進時のみにトルクを伝え,登り坂でもクラッチは滑ることなく登れることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書通りに電磁ブレ-キを連結した試作機を作り,軸とベルトとの摩擦係数,ベルトとベルトとの摩擦係数,巻き付け回数をそれぞれ変化させる実験が行えるようになった.角速度変化の理論値と実験値が一致することを確認し,クラッチを応用した三輪車も試作してクラッチの結合感が体感できるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後スチ-ルベルトの表面に二硫化モリブデンをニッケルもしくは銅と複合メッキしたベルトを試作して,ゼンマイ加工したベルトで実験を行う計画である.また昨年度した三輪車ではクラッチの回転面とステアリング軸がオフセットしていたため,ペダルの回転に伴いモ-メントが発生し手にトルク反力を感じた.そのためクラッチ回転面とステアリング軸とのオフセットを無くした三輪車を新たに試作する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度に研究費が残った理由は研究開始当初に研究費を3割カットするよう依頼があり,3割カットした予算で研究計画を立てたためである.H23年度の残額は,H24年度に製作予定の複合メッキ装置の製作費のほか,スチ-ルベルトのゼンマイ加工費や三輪車の二次試作費に充てる.
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Research Products
(6 results)