2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560168
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
竹内 彰敏 高知工科大学, 工学部, 教授 (30206940)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | トライボロジー / 撥水処理 / 多孔質面 / スリップ流れ |
Research Abstract |
本研究では,スリップ流れが発生し易い撥水面や多孔質面と,その発生が少ない未処理面や緻密な面を交互に配置し,それら領域間でのせん断流量の不連続性により負荷を発生させる,スリップ軸受の作動原理の解明を目的とする.平成23年度は,撥水面での極微小キャビティーの観測技術の検討,軸受面の粗さも考慮できるフラットスリップ軸受や,多孔質体の一部を緻密化した部分緻密化軸受のプログラムの開発を行った.1.高出力のPZT送信素子と広帯域のPVDF受信素子を組み合わせたハイブリッド型超音波探触子については,音響レンズの外周側にPZT素子を,内周側にPVDFを持つ構造の有効性を確認した.これにより,撥水面での極微小なキャビティーの観測の信頼性が高まる.2.潤滑面の双方を独立して回転できるスラスト軸受の試作機を用いて行った,潤滑面の双方向からの超音波観測により,微小なキャビティーの検出確度を高められる可能性が明らかになった.また,超音波探傷映像装置の計測ソフトに組み込む平均化処理のアルゴリズムと,超音波画像の2値化法の検討により,キャビティー発生領域を定量的に評価するための基礎が確立された.3.軸受外周での流入角が円の接線に近くなる特殊な長いスパイラル状の撥水面を持つ軸受の特性につき,壁面せん断応力に比例したスリップと,表面粗さ,そして幾何学的なステップの影響を考慮できる有限要素プログラムを新たに開発したことにより,粗さや段差を含めた実用的な視点から,本スリップ軸受の特性を総合的に検討できる基盤が整った.これに加え,平成24年以降の課題である,多孔質体の一部を緻密化した部分緻密化軸受についても,壁面でのスリップのし易さに関係する気孔径や気孔率,そしてステップの影響を考慮できる軸受特性解析プログラムを開発した.これにより,本軸受での負荷の発生について,定量性のある比較検討の見通しが立った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
超音波探傷映像装置の故障の原因究明が難しく,装置の復旧が遅れたことにより,当初の目標であった,超音波観測を基にしたスリップ軸受の作動原理の解明が進まなかった.しかし,ハイブリッド型超音波探触子の検討,潤滑面の双方向からの超音波観測の予備実験,キャビティー発生領域を定量的に評価するためのソフトの検討等により,当初計画の実施に必要な基礎技術が確立できた.また,従来の壁面スリップに,粗さや段差の影響を加えた実用的な解析プログラムの開発により,実用化に向けた実施内容の指針を確認できた.さらに,平成24年度以降の課題であった,部分緻密化多孔質軸受のプログラム開発が進んだことにより,以降の研究を効率的に進めるための基盤を確立できた.
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Strategy for Future Research Activity |
超音波探傷映像装置の故障で遅れている平成23年度の課題であった,超音波法でのフラットスリップ軸受の作動原理の解明を主として実施する.特に,潤滑面間の発生圧力,超音波で観測される微小なキャビティー,そして摩擦特性との関わりを中心に,実験と理論による検討を進める.また,ステップスリップ軸受や部分緻密化多孔質軸受の特性についても,実験と理論の双方での検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
超音波探傷映像装置の故障により製作が遅れていた,潤滑面での微小なキャビティーの発生状況を定量的に観測するための観測装置の最終設計と製作,撥水膜の作成に必要な器機や素材そして超小型圧力センサの購入に,次年度に繰り越す研究費を充てる.ガラス円板や多孔質試験片等の実験で必要な消耗品や,成果発表ならびに専門的知識の提供に対する謝金については,請求する研究費において賄う予定である.
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