2013 Fiscal Year Annual Research Report
人工股関節を流体潤滑する摩擦面形状の理論設計およびそれに準拠した試作と評価
Project/Area Number |
23560170
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
馬渕 清資 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (70118842)
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Keywords | 人工関節 / 流体潤滑 / 表面精度 / 形状パラメータ / 半径差 / 真球度 / 表面粗さ |
Research Abstract |
近年,金属同士の摩擦面を有する人工股関節周囲に,高頻度で異常組織増殖が発生することが頻繁に報告されるようになった.その原因として,骨頭と頸部の間のフレッテイング摩耗に伴う金属イオンの溶出が推定され,人工臼蓋と人工骨頭の摩擦面で流体潤滑が実現できない場合に,その部分の高い摩擦のため,骨頭と頸部の間のテーパジャンクション部分で滑りが発生すると考えられた.摩擦トルクのつり合い条件を基にした解析の結果,頸部軸と荷重方向の角度が約84.5 度より大きい時に骨頭と頸部の間が滑り出すと推定された.振り子摩擦測定試験機を応用してシミュレーション試験を行って,骨頭頸部の間の滑りが発生する条件を検証することができた. 金属インプラントの安全性を確保するためには,腐食による金属イオンの溶出を防ぐ必要がある.臨床に用いられているコバルトクロム合金は、表面の不動態膜形成により耐腐食性を維持しているので,それが損傷すると有害な重金属イオンが周囲の生体環境に溶出する.特に,微少振幅の往復動摩擦(フレッティング)が,不動態膜破壊の可能性が高いとされている.振幅の大きさや周期などの摩擦条件の因子と不動態膜破壊の関係について,定量されていないので,骨頭と頸部の間のフレッティングの危険性について,詳細な評価はされていない.よって,(1)CoCr合金摩擦試験による不動態膜損傷評価,(2)金属製人工股関節の連続摩擦によるイオン溶出量測定の2種類の実験により,金属製人工股関節の腐食について調査した.その結果人工関節用金属材料である,CoCr合金同士の摩擦面において,小振幅あるいは短周期は,不動態膜の損傷の可能性を高くすることがわかった.また,それによる金属イオンの溶出の可能性も高くなることがわかった.
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