2012 Fiscal Year Research-status Report
血液のレオロジー特性の同定と血液シール用メカニカルシールの表面粗さの設計
Project/Area Number |
23560171
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
富岡 淳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40217526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 宜典 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (00547060)
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Keywords | メカニカルシール / レオロジー / 表面粗さ / 血液 / 人工心臓 |
Research Abstract |
平成24年度は,血液のレオロジー特性を解明するとともに,血液シール下特有のメカニカルシールの潤滑特性解明を通して,人工心臓用メカニカルシールにおけるしゅう動面の表面粗さについて有用な設計指針を得ることを目的とした.以下に,具体的に示す. 1. 血液のレオロジー特性の解明 メカニカルシールのしゅう動面間における血液のレオロジーモデルを構築するため,赤血球の変形能に着目した.これは,メカニカルシールのしゅう動面は非常に小さく,すきまに流入しうる赤血球の変形能が,メカニカルシールの潤滑特性に大きな影響を及ぼすといえるためである.そこで,血液の粘弾性レオロジー計測を行うため,定常流または振動流を与えることができるコーン・プレート型レオメータを購入した.進行状況としては,赤血球の変形能を調整(赤血球を固定化)し,血液の粘弾性レオロジー特性に及ぼす影響を検討した. 2. メカニカルシールの潤滑理論の確立 しゅう動面の表面粗さは,メカニカルシールの潤滑特性に大きな影響を及ぼす.そこで,しゅう動面の表面粗さについて理論的な設計指針を得るため,メカニカルシールの混合潤滑解析モデルを考案した. 3. 血液シール下におけるメカニカルシールのトルク,温度およびもれ特性の検討 実験装置を製作し,血液シール下におけるメカニカルシールのトルク,しゅう動面温度および漏れ量の計測を行って,メカニカルシールの性能を評価した. 4. 血液シール下におけるメカニカルシールのしゅう動面の観察 血液シール下特有のメカニカルシールの潤滑特性解明のアプローチの一つとして,しゅう動面をリアルタイムで観察することを目指している.進行状況としては,しゅう動面可視化用装置を製作し,しゅう動面における血液とクーリングウォータの混在状態を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究の達成度はおおむね順調であるが,購入した粘弾性レオロジー測定器で十分に実験できなかったため,振動流に対する血液の非ニュートン牲の実験を行うことが出来なかった.その点に関しては,研究の達成度がやや遅れている.しかし,平成25年度には,実験を繰り返して,この遅れは取りかえす見込みがある.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,最終的なまとめの年度でもあるので,以下の方法で研究を推進していく予定である. 1. 血液のレオロジー特性の解明 今後は,赤血球の固定化が人工心臓用メカニカルシールのトルク,温度およびもれ特性に及ぼす影響を検討し,メカニカルシールのしゅう動面における血液のレオロジーモデルを構築する. 2. メカニカルシールの潤滑理論の確立 今後は,血液のレオロジーモデルを適用し,血液シール下におけるメカニカルシールの潤滑特性の検討を行う. 3. 血液シール下におけるメカニカルシールのトルク,温度およびもれ特性の検討 今後は,しゅう動面の表面粗さがメカニカルシールの潤滑特性に及ぼす影響を検討し,理論的な計算結果との整合性を評価していく. 4. 血液シール下におけるメカニカルシールのしゅう動面の観察 今後は,実験装置の調整度を高め,より信頼性のあるデータが取れるように改良していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,最終年度でもあり,研究をまとめていくために研究費を特に使用する予定である.ここで得られた成果は,人工心臓という非常に社会的注目度の高い技術において応用が期待されている.そのため,得られた成果は広く社会や産業界に還元されるべきものであり,随時論文発表を通じて発信する予定である.論文別刷費用をこれに当てる. また,研究成果の発表は国内外の学会およびシンポジウム等において,年に数回程度行う予定であり,そのための交通費,参加費,日当,宿泊費として,使用予定である. また,やり残した実験も多く,それに対して,試料などを購入する予定である.
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Research Products
(5 results)