2012 Fiscal Year Research-status Report
複合型制御機構による高負荷3次元タービン翼の広範囲高効率化に関する研究
Project/Area Number |
23560180
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
船崎 健一 岩手大学, 工学部, 教授 (00219081)
|
Keywords | ターボ機械 / 翼列 / 境界層制御 / 実験 / CFD |
Research Abstract |
現在,航空機用推進装置として広く採用されているターボファンエンジンであるが,近年の原油価格の高騰や環境負荷への考慮,エアライン業界の競争激化などの観点から,更なる性能向上が望まれている.そのため,エンジンの軽量化とメンテナンス性の向上を狙い,低圧タービン部の翼枚数削減が望まれている.しかし,タービン翼枚数の削減は,個々のタービン翼の負荷の増加と,それに伴う翼間流路における逆圧力勾配の増大を招き,結果として翼負圧面上で剥離が生じ易くなり,効率の著しい低下をもたらす.そのため,翼面に乱流促進デバイスを付加する事で剥離を抑制し,損失低減を図る研究がこれまでに行われてきた. 本研究ではデバイスを付加した航空機用低圧タービン翼の調査と共にタービン翼後縁形状に着目し,その後縁厚みを削減したモデルの計測も行った.調査には直線翼列試験装置を使用し,レイノルズ数の変化と実機中での動静翼干渉を模擬した条件下での計測も実施し,デバイスと後縁厚み削減が翼性能に与える効果ついて検証を行った. 乱流促進デバイスの付加,後縁厚み削減を行った低圧タービン翼に対して調査を行い,以下の知見を得た. ・大規模な剥離が発生する条件では,デバイスの生成する乱れによって剥離が抑制され,損失が低減した. ・翼面流れ場が乱流遷移し,剥離が再付着する条件では,後縁厚みの削減によって損失が低減した. ・デバイスの付加と後縁厚みの削減を行ったCDM翼は,幅広い試験条件において良好な性能を示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,複数の流れ制御技術を組み合わせることにより,ターボ機械翼面上流れの現実的かつ新たな制御手法を提案することである.従来から,数多くの制御手法が提案されていたが,このように異なる制御方法を適切に組み合わせることにより,広範囲の流動条件で効果を発揮する制御機構を提案することを計画していた.加えて,提案する手法の性能を翼列試験装置及び3次元回転試験装置で実験的に明らかにするとともに,流れ場の挙動を実験(PIV,熱線流速計)及び非定常流れ解析(DES/LES)で明らかにするとともに,これらの調査を通じて実用化に向けての課題を明らかにすることを計画していた. 今回の本研究では.導入インパクトが大きいと期待される航空エンジン用低圧タービンを対象として,新たに公安したデバイスを付加した低圧タービン翼の調査と共にタービン翼後縁形状に着目し,その後縁厚みを削減した複合化制御モデルを広範はRANS解析を通じて探索し,最も有力な形態を決め,モデル翼を製作し,それを用いた試験を行った.調査には主流乱れやwakeを追加可能な直線翼列試験装置を使用し,レイノルズ数の変化と実機中での動静翼干渉を模擬した条件下での計測も実施し,デバイスと後縁厚み削減が翼性能に与える効果ついて検証を行った.さらに,URANSやLESも,当初の計画通り実施した. 結果として,複合化デバイスにより,主流乱れやwake通過を伴う流れ場において幅広い試験条件において良好な性能を示した.以上のように,ほぼ当初の計画通り研究が進捗し,非常に有効な制御デバイスを考案することができている.以上の成果を踏まえ,「おおむね順調に進展している」と判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の方針としては,まず前年度見出した複合デバイスの最適化を進める.実際には,品質工学的手法及び数値最適化手法を組み合わせ,経験値を踏まえロバストな形態を探求する.いくつかの有力解に対して実験を行い,最適化の不確かさを検証する.また,これらとは異なる新たな複合型制御デバイス(たとえばディンプル,リブレット)の可能性を探究することで新たな設計空間の開拓を行うとともに,それらの翼の空力性能を非定常翼列試験装置及びタービン回転試験装置を用いて実証することを目指す.また,そこでの流れの物理を掌握するため,URANSやLESなどの高精度乱流解析手法を採用し,最新の動的統計的手法を援用することで,起きている現象の中で支配的となっている現象を解明する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|