2011 Fiscal Year Research-status Report
希薄気体力学効果を利用した新しい気体潤滑システムの開発
Project/Area Number |
23560184
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米村 茂 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (00282004)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹野 貴法 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (00451617)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | トライボロジー / 気体潤滑 / 希薄気体力学 / DSMC法 / 流体工学 |
Research Abstract |
研究代表者は、微細加工した表面と平坦面を摺動させることにより、両面間に挟まれた空気に高圧力が発生して、気体潤滑となることを数値解析により示し、また、この圧力発生が希薄気体力学的な効果により引き起こされ、ナノスケール流れ独特の現象であることを明らかにしている。本研究では、この現象を応用して、新しいタイプの気体潤滑システムを提案・開発することを目的としている。 平成23年度はまず、研究代表者らが数値解析により示した気体潤滑メカニズムの妥当性を確認するための実験を計画した。数値解析では、「表面(1):完全に平坦な面に微細な形状の溝を彫った表面」と「表面(2):完全に平坦な表面」を摺動させて高圧力を得ている。これと同一条件で実験するためには、実験でも「表面(1):数値解析と同一の微細な形状をもつ溝を加工した表面」と「表面(2):原子レベルでの平坦度を有する表面」を実現しなければならない。表面(1)の作成については、1.SiC基板に熱フィラメント法によってバラスダイヤモンドを合成するための成膜パラメータを見いだし、2.バラスダイヤモンド同士の共擦りによって表面を平坦化することができた。さらに、表面(2)については、3.単結晶シリコン基板にダイヤモンドライクカーボン膜を作成し、4.その表面が原子間力顕微鏡で算術平均粗さ(Ra)が1 nm以下であることを確認した。 また、本研究で取り扱う気体潤滑現象ついては、圧力発生メカニズムについては分かったが、理論の構築は不十分である。例えば、レイノルズ数、クヌッセン数、マッハ数といった無次元数により現象を整理して、支配的な因子を究明し、系統的な理論構築が必要である。23年度は、数値解析において分子の衝突断面積や質量を人為的に変化させて、その影響を調べた。これにより、粘性係数や分子の平均自由行程の影響が確認できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本テーマでの形状加工においては、数値計算によって最適化されている形状を作り出す必要がある。試験片が比較的大きい事を考慮すると、レーザーでの加工が適切と考えられるが、加工精度の問題がある。一方、プラズマエッチングでは加工に非常に時間がかかることを考えると非効率である。この2点の問題を解決するための方法の探索と、加工業者の選定に時間がかかっているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
表面のレーザー加工の費用は非常に高価であるため、表面の加工業者の選定および加工する形状を慎重に選定する。加工する形状の選定のために、レーザー加工の前に数値解析による入念な検討を行う。これらの条件がクリアになった後、速やかに摺動実験を開始する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、上述したように23年度にレーザー加工の段階にまで至らなかったことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)