2013 Fiscal Year Annual Research Report
希薄気体力学効果を利用した新しい気体潤滑システムの開発
Project/Area Number |
23560184
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米村 茂 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (00282004)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹野 貴法 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00451617)
|
Keywords | トライボロジー / 気体潤滑 / 希薄気体力学 / DSMC法 / 流体工学 / 分子気体潤滑方程式 |
Research Abstract |
本研究では研究期間にわたって、摺動表面にある微細な凹みによって高圧力が引き起こされる現象を数値シミュレーションにより再現し、凹みの形状の圧力発生への寄与および3次元的な表面の構造による側面方向への漏れとその低減方法などについて検討して来た。しかしこの作業は試行錯誤的であり、現象を完全に理解出来たわけではなかった。現象の理解が進めば、試行錯誤に頼らずとも、圧力発生に最適な形状を予見することが可能であろう。そこで、最終年度は数値計算ではなく、希薄気体性を考慮した理論的な考察により、圧力が発生するメカニズム、および圧力発生を支配する要因を明らかにした。これにより現象に関する理解が大きく進み、圧力発生に最適な表面形状を明らかにした。例えば、平坦部が長い(面積が広い)場合に大きな圧力が得られることを理論的に予見した。 一方、実験では、これまでの数値解析結果、および上述の理論による予見を踏まえ、大気中での研磨ダイヤモンド膜の摩擦試験を行って、平坦部の面積率が摩擦特性に及ぼす影響を調べた。研磨ダイヤモンド膜においては、平坦部の面積率が大きいほど低摩擦化することが分かった。理論解析では、平坦部の長さ(面積)が大きいほど、平坦部において上に凸な形状の圧力分布を示し、これにより平坦部の平均圧力が高くなる、すなわち耐荷重性が向上することを予見しているが、実験結果はこれを裏付けている。 また、上述の実験と全くの同一表面に対し、水を介在させた状態で摩擦試験を実施したところ、摩擦と平坦部の面積率との間に明確な相関は見ることができなかった。理論解析において、平坦部で見られた上に凸な圧力分布には気体の圧縮性が重要な役割を果たしており、圧縮性の無い液体の潤滑の場合には圧力分布は直線的となり、平坦部の圧力が面積の大きさに依存しないことを示しているが、実験結果はこれを裏付けている。
|
Research Products
(4 results)