2011 Fiscal Year Research-status Report
渦ゆらぎの制御を用いた快適な空調環境と食品の自然乾燥に関する研究
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23560186
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
李鹿 輝 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00253906)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ゆらぎ / 渦 / FFT / 快適環境 |
Research Abstract |
21世紀は『ひと(人)』の時代と言われ、物質的、精神的に豊かで安全かつ楽しい人間社会が求められている。一昨年の夏のような記録的な猛暑や熱帯夜の増加により、居住などに快適な環境の整備は緊急な課題となる。これまで、夏の蒸し暑さへの対応として、扇風機やエアコンを有効に利用してきた。しかし、人間は扇風機や空調機の風よりも窓から入る自然の風のほうを快適に感じる。原因は自然風の気流ゆらぎの中にカオス的な性質があることがよく知られている。この物理現象の本質としては、自然風に含まれている3次元渦はゆらぎ特性が存在すると考えられる。すなわち、自然風は空間的・時間的にゆらぎ特性をもつといえる。また、快適な空調環境を付与することや省エネルギー化の目的から、自動車の空調環境でも快適な自然環境の風に近いゆらぎ風が望まれている。 単調な環境となった人間に不自然さを与え、精神的、生理的なリズムを損ないストレスの原因ともなっている。近年、扇風機、温風ストーブ、空調等を中心とした工業分野において、空調機の送風機や扇風機のモータ回転に1/fゆらぎの制御を加えて、実際の吹出し気流速度を一次元的に変動させる技術が実用化されている。しかし、その風速(モータ回転)制御だけで自然の風に近い風を作ることは難しいである。自動車の空調制御では、アッパーベントとフロントベントの噴出し風量をランダムに制御することによって、気流速度を変動させるゆらぎ技術が既に開発されている。しかし、このシステムは複雑であり、その風量制御だけで自然のそよ風を作ることは難しいといえる。 このような背景のもと、本研究は様々な流れの渦構造の研究を行い、各スケール渦や支配的な組織構造などを解明した。さらに、心地良い自然の風の渦ゆらぎの発生装置を作ることを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度では、流れの中に置かれるさまざまな鈍頭物体から生じる大規模乱流組織構造は可視化技術・粒子画像速度計測法(PIV)等を用いて瞬時速度・渦度分布を計測した。ウェーブレット変換・FFTにより、周波数―空間―時間において流れ速度・渦度のゆらぎの解析を行った。これらのゆらぎ特性に及ぼすレイノルズ数や物体形状などの影響について検討し、快適な渦ゆらぎ発生装置を提案した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度以後では、渦ゆらぎ発生装置の実用化を目的とする。(1)室内空調の応用:前年度提案した渦ゆらぎ発生装置を用いた空調機と扇風機の風と人間の快適性との関係を調べる。(2)自動車の空調の応用:実際な乗用車の空調に渦ゆらぎ発生装置を装備し、可視化技術・PIVを用いて車内各席の位置付近の速度分布を計測する。(3)食品の乾燥機の応用:水産物を乾燥試料として、渦ゆらぎ発生装置による乾燥させ、食品乾燥の質を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験設備として空調機と食品の乾燥機を購入する。その他の研究費は、研究発表旅費、実験部品の製作費や実験の材料費などを計画している。
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