2013 Fiscal Year Annual Research Report
微視的挙動解析に基づく懸濁液の界面不安定の発生メカニズムの解明
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23560190
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
瀬田 剛 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 准教授 (50308699)
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Keywords | 懸濁液 / 格子ボルツマン法 / 埋め込み境界法 |
Research Abstract |
懸濁液の沈降時に生じる界面不安定の発生メカニズムを粒子と流体の微視的な挙動解析により解明することを目的とした。並列効率の高い格子ボルツマン法に埋め込み境界法を適用することにより、GPGPU専用計算機による、粒子分散系の高速計算に対する有効性を実証した。ただし、粒子数を増大させると、数値的不安定性により計算が発散し、懸濁液の沈降における界面不安定が観測されない問題が生じた。埋め込み境界法を適用した格子ボルツマン法で生じる数値的不安定性の原因には、粒子相互作用力の問題以外に、固液界面近傍における流速の誤差も関係することが明らかになった。 格子ボルツマン法の衝突則に適用させた二種類の緩和時間に対し、固液界面に発生する流速分布の歪を除去するための関係式を解析的に導出し、数値実験と参照解との比較検証により本手法の有効性を実証した。二種類の緩和時間を用いる簡便な本手法は、多数の緩和時間に基づく複雑な衝突則を用いる既存の手法と等しい精度で、固液界面近傍に発生する流速分布の歪を取り除くことが出来た。埋め込み境界法を適用した格子ボルツマン法において境界条件と計算された流速とが一致しない問題に対し、陰解法を用いることで解決されることも理論的に証明した。陰解法を用いることで、固液境界面への流体の漏れの問題も同時に解決され、円柱周り流れの計算において、抵抗係数、渦長さ、剥離点について参照解と比較検証し、本手法の有効性を実証した。以上より、分散媒と分散質の微視的な挙動に基づき懸濁液を解析する数値計算手法が確立され、GPGPUによる分散系の計算の高速化にも成功したと結論付けられる。
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