2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチャンネルにおける分子交換流を用いた気体分離法の開発
Project/Area Number |
23560196
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉元 宏 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50222055)
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Keywords | 気体膜分離 / 熱遷移流 / 希薄気体力学 / Knudsenポンプ / マイクロ流体 / MEMS / 分子流体力学 / 熱拡散 |
Research Abstract |
1.分離気体生産装置の設計:前年度までの解析・実験では,貫通孔を有する多孔膜(MCE製の市販の濾紙)を用い,その表裏の間に僅かな温度差を与えることによって,大気圧下のマイクロチャンネル内で分子交換流を誘起することに成功した.さらに,膜に沿って適切な気体流を供給することで,分子交換流が生み出す気体分離効果を集積し,膜に沿った大きな濃度変化を得ることができた.本年度は,この濃度変化を用いた,混合気体の完全分離システムを実現するため,解析的研究を進めた.研究の結果,前年に開発した装置を複数台組み合わせるだけで,混合気体を連続精製するシステムが実現できることが示された.具体的には,複数の装置を連結し,一方の端の装置で温度差を大きめ(90℃程度)に,その他の装置は従来通りの温度差(60℃程度)で運転すればよい.この条件下では,装置内の膜に沿って周回する循環気流が発生し,システム全体では,その両端で大きな成分濃度差が生じる.場合によっては,両端で各成分気体の一級試薬レベルの純度が実現できる.このシステムは,上述の温度差以外のエネルギーを全く必要としない新しい気体分離システムであり,大きな応用可能性を持つだろう. 2.表面粗さと気体論的境界条件の関係:多孔膜のように,表面粗さを持つ物体に沿って気体が流れる場合,物体表面における気体分子の反射に流速の影響が表れ,分子が流れに逆らう方向に反射しやすいことを明らかにした.表面粗さにより希薄気体の流路抵抗が増加することは以前から知られていたが,本研究の成果は,その現象の発生原因を説明できる.また,この現象は表面粗さを小さくしても消えずに残ることも示された.これは,従来の気体論的境界条件を用いた解析では,壁面に沿った流速成分が系統的な誤りを生み出してしまうことを意味している. 3.上記の他,気体論的境界条件と熱遷移流の関係についての研究にも着手した.
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Research Products
(5 results)