2011 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流路内二相流動に及ぼす各種特異点の影響の解明
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23560199
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川原 顕磨呂 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (20224818)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロチャンネル / 気液二相流 / 曲がり / 圧力損失 / 気泡長さ |
Research Abstract |
微小空間で化学反応を行うマイクロリアクタに代表されるような気液二相を利用したマイクロデバイスの設計・開発に資するために、マイクロ流路内に存在する特異点が気液二相流の流動特性に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、本年度の研究では曲がり流路における流動特性の影響を調査した。具体的には水力学相当直径0.24 mmの矩形マイクロ流路内の曲がり部における気液二相流における気泡長さ、液体の長さ、気泡速度、ボイド率および圧力降下を測定した。その際、曲がりの曲率半径を0.500と0.875 mmとした。流路の材質はPDMSで、流路壁は親水性を向上させるために酸化プラズマ処理を施した。液体の物性値(密度、粘度、表面張力)の影響を知るために作動液体に蒸留水、エタノール、HFE7200を、気体に窒素ガスを用いた。得られた成果は次のとおりである。・曲がりの上流部と下流部での気泡・液体の長さ、ボイド率、気泡速度に違いはあまり見られなかった。そして、気泡長さ/(気泡長さ+液体の長さ)の比は液体および流動様式の違いに依らず気体体積流量率で評価できることを明らかにした。・液単相流および気液二相流の圧力降下の実験値から曲がりによる非可逆圧力損失を求めた。液単相流の損失係数はディーン数で整理できた。さらに、気液二相流の損失係数はディーン数に加えてキャピラリ数、ウエーバー数で整理できることを明らかにした。なお、マイクロ流路(0.5mm以下)における曲がりによる圧力損失データは既存の研究では見当たらず、本研究で得られた研究成果は設計・計算検証のデータベースに資することができると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究では、マイクロ流路(0.5mm以下)内に存在する特異点として曲がりの影響を調べた。特に、マイクロリアクタやマイクロ熱交換器の設計で必要となる圧力損失、気泡・液体の長さについて以下の成果を得ている。・液単相流および気液二相流における曲がり近傍の圧力分布の測定し、曲がりによる圧力損失を評価する式を構築した。・気液二相流における気泡の長さ・液体の長さを高速度ビデオカメラで計測し、それらの評価式を構築した。上記および研究実績の概要に記述した成果は、当初の計画と通りである。したがって、本研究は概ね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロ流路内に存在する特異点として急縮小・急拡大流路における流動特性を調べる。そこで、拡大流路(拡大率を変える)および縮小流路(縮小率を変える)を用いて次の事項を調べる。・液単相流および気液二相流における急拡大(あるいは急縮小)上流・下流の圧力分布の測定し、急拡大(急縮小)による圧力損失を評価する式を構築する。・気液二相流における気泡の長さ・液体の長さ・気泡速度および液膜厚さの高速度ビデオカメラとレーザーフォーカス計による同時計測を行い、急拡大(急縮小)を通過する際の気泡・液体の長さおよび液膜厚さを表わすことができる式を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
急縮小・急拡大流路の製作費、各種消耗品(圧力計、作動液等)の購入費に使用する。また、研究成果の発表のための学会出席への旅費に使用する。
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