2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23560203
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
加藤 健司 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10177438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇本 辰郎 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10254385)
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Keywords | 動的ぬれ挙動 / 接触角 / 壁面欠陥 / 接触線 |
Research Abstract |
周囲とぬれ性の異なる円形欠陥(直径40~100μm)をもつ壁面を対象に,固気液3相の接触線の挙動について数値シミュレーションを行った.欠陥を通過する際の気液界面の変形仕事ならびに粘性消散仕事量と,動的接触角の関係を整理するエネルギー平衡式の提案を行い,それぞれの動的ぬれ挙動への影響について検討を行った.その結果,変形仕事量の動的ぬれ挙動への影響を定量的に明らかにした.また,2つの円形欠陥が存在する場合について,欠陥間の距離や位置関係を変化させた数値シミュレーションを行った.2つの欠陥の相乗的な効果により,ある距離まで一つの大きな欠陥のような影響を与えることを明らかにした.この効果により,接触線の移動速度に対する動的接触角の変化は直線的でなく,上に凸の分布を示す.これは,実際に観察される動的接触角の振る舞いをよく近似している.さらに,欠陥縁部のみぬれ性を変化させた計算を行い,接触線が上記の条件下とと同じ挙動を示すことを明らかにした.壁面上の欠陥の面積占有率が小さくとも,動的接触角に大きな影響を及ぼすことが示唆された. 分子レベルで平滑なSAMs(自己組織化単分子膜)を施した試料表面に対し,SAMsを局所的にはぎ取り,直径300μmの欠陥をもつ試料平板を作成した.接触線が欠陥部を通過する際の局所接触角の変化を,レーザースポットの反射光の変位から測定する手法を提案した.欠陥部を通過する際,動的接触角が有意に変化し,接触線が欠陥にトラップされていること,ならびに通過後にSAMS基板の接触角に回復する過程を測定することができた.その結果,局所接触角の速度依存性,ならびに接触線の変形挙動との関係が明らかにされた.これらの結果は,上記数値計算結果と定性的に一致した.
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