2012 Fiscal Year Research-status Report
柔軟シートフラッタを利用した風力発電のための基礎研究
Project/Area Number |
23560208
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
横田 和彦 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70260635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 光太郎 工学院大学, グローバルエンジニアリング学部, 教授 (80252625)
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Keywords | flutter / flexible sheet / power generation / flow induced vibration |
Research Abstract |
本研究は,回転支持された円柱に取り付けた柔軟シートのフラッタから回転振動の動力を取り出す風力発電(以下,フラッグミルと言う)に関して,そのフラッタ特性(フラッタ限界流速,振動数,モードなど),発電特性(非定常電流,電圧,電力),流れ場特性(速度場,圧力場など),及び,これら3特性の相互関係,について調査する事を目的とする. 研究2年目である今年度は,前年度構築した発電システム,計測システム,解析システム,PIVシステム,数値計算コードを用いて,シートの材質,シート長さ,シート厚さなどの実験パラメータに関して,パラメトリックに,フラッタ特性,発電特性,流れ場特性の調査を行なった. ポテンシャル安定解析に基づいた数値計算によって,フラッタ限界は,シートと流体の慣性力の比を表わす無次元数である質量比と,流体動圧とシート剛性の比を表わす無次元数である剛性比の2つの変数に関して,1本の曲線で表わされる事が示されている.そこでパラメトリックな実験から得られたフラッタ限界の結果を,このグラフ上にプロットした所,データのバラツキの範囲内でほぼ一致した.また振動数とモード(モード遷移を含む)も数値計算と実験はよく一致した.これら数値計算と実験の一致から,両方共にある程度の信頼性を持っていると結論される. 一方,発電量は,シートフラッタのモードに大きく依存する事が判明した.即ち,流速が大きくなると,シートフラッタは1次モードから2次モードに移行するが,このモード遷移に伴い発電量は1次モード時に比べ大きく低下した.これは,フラッタが2次モードに移行すると,円柱回転角の角度振幅が,大きく低下する為である事が原因である.そこで,この角度振幅と発電量の関係を調べた所,強い相関が存在する事が判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験,計算に関しては,今年度で,本研究申請当時に目標としていたデータがほぼ得られた状況である.これにより,円柱の回転角の角度振幅が発電に大きく寄与する事が明らかとなった.従って,今後は,円柱の回転角の角度振幅を大きくする工夫をすれば良い事になる.即ち,フラッグミルの研究開発において,開発・改良の指針が得られた事になる.なお,研究成果発表としては,国内学会講演会での口頭発表2回,国際会議(韓国)での口頭発表1回を行なった.更に現在は,これ迄の研究成果を査読付論文として投稿するための準備中である.実験・計算に関しては,倒しで研究目標を達成出来ていると言える. ただしNavier-Stokes方程式シミュレーションに関しては,グリッド変形の問題,それに伴う解の安定性の問題などが予想していたより強く現れ,より良いグリッドの探索に予想以上の時間を費やさざるを得なかった.現在は,先端を回転支持され剛体回転運動する平板に関する数値計算結果が得られた段階である.その結果は,流体仕事がマイナスで安定,と言うものである.1自由度フラッタは安定と言う事が知られているので,妥当な結果が得られていると言える.なお,流れ場特性に関しては,流れの可視化実験やPIV解析によって既に多くの成果が得られており問題は無い.今後も,Navier-Stokes方程式シミュレーションを進めてゆく予定である. 以上を総合して,おおむね順調と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度ポテンシャル安定解析を進め,安定解析の中にモーター特性(例えば,モーターの機械摩擦,発電抵抗など)を取り込む形式に拡張した.この拡張された安定解析の結果は,モーター特性がフラッタ特性に影響を与えている事を示唆している.即ち,モーターが変わればフラッタ特性が変化し,その結果,発電特性も変化する可能性が示唆された.そこで,これまでの研究と同様のことをモーターを変えて実験するものとする. 具体的には,これまでと同様に,シートの材質・長さ・厚さ,流速などを実験パラメータとして実験を行ない,拡張されたポテンシャル安定解析の結果と比較検討すると共に,流れの可視化実験,PIV解析を実施する.これによって,モーター特性が旗発電に与える影響を明らかにする. 一方,Navier-Stokes方程式シミュレーションには,モーター特性を取り込む事は出来ないので,独立して進める.そして,シートフラッタに関する結果が得られれば,既に得られている可視化結果,PIV解析結果と比較検討した上で,より詳細な流れ場(渦や圧力分布など)の調査や,実験では得る事が非常に困難な流体仕事に関連した検討を行なう予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)