2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ配列化した複合分子センサによる非定常流れの高速多変量同時計測法の開発
Project/Area Number |
23560211
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
江上 泰広 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (80292283)
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Keywords | 感圧塗料 / 感温塗料 / 複合センサ / 分子イメージング / 非定常流れ / 同時計測 / 光学計測 |
Research Abstract |
本研究では陽極酸化被膜に感圧・感温の機能性分子をインクジェットプリンタの技術を応用して微細なマイクロドット配列に物理的に塗り分けることにより,分子間干渉を生じさせず,様々なセンサ分子を自由に複合化できる理想的な高速応答複合センサを作成し,非定常現象の多変量同時計測を高い精度で実現することを目的としている. H24年度は金属基盤の陽極酸化被膜上にインクジェットを用いてマイクロセンサドットを形成した.色素にRu(dpp)3を用いて,4種類(ジクロロメタン,クロロホルム,メタノール,クロロホルムとジクロロメタン)の異なる溶媒に溶解したPSP溶液をインクジェットを用いて陽極酸化被膜上に塗布しPSPドットセンサを作成し,PSPドットの形状,発光強度,圧力感度について調査し,溶媒の影響を比較した.さらにドット型感圧センサと従来型の浸漬型感圧センサとの発光強度及び圧力感度の比較から,ドット型感圧センサの性能を検証した. PSP溶液を作成する際,色素と溶媒の溶解性の他に,溶媒の揮発性を支配する蒸気圧と沸点の影響を考慮しなければ,コーヒーリング現象が発生し,PSPドットの形状が均一に定まらないことが確認できた.4種類のドット型感圧センサの内,ジクロロメタンとクロロホルムを1:1の割合で混合した溶媒を用いると,コーヒーリング現象を発生させずに塗布することができた.このジクロロメタンとクロロホルムのPSP溶液を用いて,従来の浸漬型感圧センサとの発光強度及び圧力感度を比較した.ドット型感圧センサのサンプル全体と浸漬型感圧センサを比較した場合,発光強度は約3.4-6.7倍で,浸漬型感圧センサの発光強度が高くなった.これは,全体で計測すると,PSP溶液が塗布されていないところも含まれているからである.圧力感度は浸漬型感圧センサとほぼ同様の良好な感度が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は陽極酸化被膜上にセンサドットを形成することに成功した.感圧塗料の溶媒を変えて蒸発速度を最適化することでコーヒーリング現象の発生を抑制しながらドット面で一様な発光強度と感度を実現したことは大きな進歩である.高速応答性試験の準備も終了し,現在精力的に実験を進めているところである.感温塗料に用いる物質の選定も終了し,複合化の目途も立っている.よって,研究はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度に作成した,陽極酸化被膜に形成できるようになったPSPセンサドットに感温塗料(TSP)を組み合わせ新型複合センサを形成する.チャンバ内の圧力と温度を変化させることができる校正試験装置を用いて,作成した複合センサの定常的な感度特性の評価を行い,PSP, TSP単体のものや混合型複合センサのものと比較を行う.また,H23年度に作成した共鳴管をベースにした時間応答性評価装置を用いて複合センサの時間応答特性を評価する. さらにH24年度に作成した実証試験装置を用いて温度と圧力が時間変化する非定常流れ場に複合センサを適用した試験を行う.圧力と温度の同時計測を行い,その測定精度や時間応答性,温度補正の評価を行う.また,数値解析を行いその結果との比較も行う.また,実際に試験を行った結果より,センサ特性の時間安定性など実際の試験に使用した場合の問題点を調査し,実用レベルの多変量の非定常計測が行えるようにセンサの改善を行う. また,研究成果を取りまとめ学会発表や論文の投稿,HPの作成を通じて成果の周知に努める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
複合センサの作成試験用の消耗品費として複合センサの蛍光色素や溶媒などの試薬の購入に200千円,薬品調合用のガラス機器に100千円を計上している.また調査研究旅費,成果発表旅費として合計300千円,研究成果投稿料として100千円を計上している.
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Research Products
(12 results)