2011 Fiscal Year Research-status Report
変動壁面せん断応力の電気化学的計測と成層流体中のマルチスケール渦構造の解明
Project/Area Number |
23560213
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
福島 千晴 広島工業大学, 工学部, 准教授 (30262752)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 流体工学 / 環境対応 / 密度成層 / せん断応力 / 渦 |
Research Abstract |
本研究は,成層流体中を回転する円筒まわりに現れるマルチスケール渦構造の時間的・空間的変化と円筒表面上に生じる擬周期的壁面せん断応力との対応を調査することを目的としている.平成23年度は,電気化学手法による回転円筒まわりの時間平均壁面せん断応力の多点同時計測法を確立することを目的として進めた.電気化学的計測法は,微小電極まわりの物質移動係数と壁面せん断応力とのアナロジーを利用する間接的な計測手法である.本研究では水酸化ナトリウムを支持電解質とし,フェリシアン・フェロシアン化カリウム水溶液の酸化・還元反応を拡散律速条件下で行い,限界電流を測定することで壁面せん断応力変動の計測を行うものである.(1)新規に購入したマルチポテンショスタットモジュールを,現有のポテンショスタットと組み合わせることで,複数電極からの信号を同時にサンプリングできるよう計測システムの確立を試みた. (2)計測システムの妥当性を確認するために,検定用流路(層流状態の円管流)の壁面にそれぞれ陽極(Ni泊),陰極(Pt線 直径0.5mm)を埋設し,限界電流と流量および圧力損失との関係(時間平均値)を検討した.その結果およそ測定精度2%の範囲内で一致することが明らかとなった.新規に購入した振動式粘度計・電子比重計は,供試電解溶液の物性値を計測するために使用した.(3)続いて,円柱まわりの流れへ本手法を適用し,はく離を伴う状況下での計測手法の妥当性ならびに適用限界を検討している段階である. (4)なお本年度の交付金が,当初予定の70%となる可能性があったため,上記購入物品は研究の遂行が可能な必要最低限の機能に絞って機種選定を行った.また次年度へ向けて計測システムの検討を進めていく中で,平成24年度購入予定のデジタルビデオカメラのスペックが不足することが明らかとなったため,本年度予算を次年度に繰り越すこととした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規に購入した機器と既存の機器とを組み合わせ,本研究の主要な課題である壁面せん断応力の電気化学的計測に見通しが立った.具体的には,定常状態の層流においてせん断応力の検定を行い,続いてはく離を伴う円柱まわりの流れおいて適用の可能性を検討した.また次年度以降に本手法と組み合わせる密度場変化の可視化手法についても,取得画像の精練化を進めた.したがって,おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の課題は,主として以下の2点である.(1)測定精度向上による非定常はく離を伴う流れ場での多点同時非定常せん断応力計測,(2)マルチスケール渦構造理解のための同時観察(せん断応力・密度場変化・速度場変化)の試み.これらを検討する中で,当初予購入を予定していたビデオカメラではスペックが不足することが明らかとなった.そのため上位機種へ変更する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の繰越金のうち,およそ1,100,000円と平成24年度の物品費1,300,000とを併せ,デジタルビデオカメラの購入に充てる.その他の費用については当初の計画通りに使用する予定である.
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Research Products
(3 results)