2012 Fiscal Year Research-status Report
多気泡系におけるキャビテーション初生に関する理論シミュレーション研究
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23560215
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
井田 真人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究副主幹 (60391356)
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Keywords | 流体工学 / 気泡力学 / キャビテーション / 負圧 / 気泡間相互作用 / 圧力波 |
Research Abstract |
液体中で膨張・収縮しながら相互作用する複数気泡のダイナミクスを表すモデル方程式“coupled Keller-Miksis 方程式”を用い、以下に示す検討を行った: (1) 気泡周囲にある液体の粘度の影響をみるため、液体の粘性係数を変数としたパラメータスタディを行った。それにより、特殊な場合ではあるが、粘性によるエネルギーロスが気泡同士の相互作用によって弱められ、単一気泡の場合よりも弱い負圧でキャビテーションが発生する場合があることを見いだした。 (2) 相互作用する気泡の振動様式に対する理解を深めるため、coupled Keller-Miksis 方程式から弱非線形方程式を導出し、“相互作用する非線形振動子”の観点からの論考を開始した。 さらに、J-PARC中性子源で試みているマイクロバブル注入による圧力波/キャビテーション抑制に関連し、多数のガス気泡を含む液体中での圧力波伝播を計算できるコードとcoupled Keller-Miksis 方程式を解くコードを連立させ、次のような検討を行った: (3) 圧力波の発生原因となる水銀への陽子ビーム入射からキャビテーション発生までの一連の過程を一度に模擬するシミュレーションを実現した。それにより、圧力波の正圧部にはほとんど影響が見られない気泡条件においても、負圧部やキャビテーション挙動には大きな減衰が起こりうること、十分に小さいマイクロバブルを作ることができれば、その総量が極めて少ない場合にも抑制効果を期待できること等を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・液体の粘性に関する考察に着手し、やや直感と異なる意外な結果を得た。 ・応用事例として、J-PARC中性子源へのマイクロバブル注入に関わる解析を行い、水銀中に注入するマイクロバブルの条件最適化に貢献する成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
・数値シミュレーションと理論解析を継続し、気泡同士の相互作用がキャビテーションの開始過程や気泡挙動それ自体に与える効果についての議論を推し進める。 ・導出した弱非線形方程式を利用し、“相互作用する非線形振動子”という観点からの論考を進める。 ・所属するグループが持つ実験結果などを参考に、解析結果が持つ意味合いや実現象との関わりなどについて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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