2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560217
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森吉 泰生 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40230172)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 熱工学 / エネルギー効率化 |
Research Abstract |
低温プラズマによる着火は連鎖酸化反応の促進と考えられるが,そのメカニズムは明らかになっていない.さらに繰り返し短パルスに期待している効果として,(1)パルスの長さで電子に与えるエネルギーの量を変えられる,(2)パルスを打つタイミングおよびパルス間隔を変えることで,生成されるラジカルの作用を変えられる,(3)電源回路から出力されるパルス電圧の時間変化(dV/dt)を制御することでプラズマ形態を変え,分子に与えるエネルギー量と形態を変えられる,という3点を仮定している.本研究ではこの仮定の証明を,(1)パルスを打つタイミングおよびパルス間隔を変えた実験(指圧計測,可視化分光計測)と数値計算を行う,(2)電源の改造を行い,パルス電圧の時間変化の影響を明らかにする,の2段階で行う.最終的に,バイオや粗悪な燃料に対して,有害排出成分を抑えたままで熱効率を上げる燃焼制御に適用できる手法の提案を行う. 平成23年度はパルス電圧の時間変化(dV/dt)を制御することでプラズマ形態を変え,分子に与えるエネルギー量と形態を変えて燃焼実験を行った.この結果,パルス数,パルス間隔とも短すぎても効果は減少し,ある最適な値が存在することが明らかになった.現象の理論解析に関しては,プラズマの生成と化学反応の両面を連成して解く必要があり,プラズマについてもBOLSIG+とCHEMKIN-Proの組合せで解析が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は実験と計算の準備に要する機関であり,最初の計画通り進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)パルスの長さで電子に与えるエネルギーの量を変えられる,(2)パルスを打つタイミングおよびパルス間隔を変えることで,生成されるラジカルの作用を変えられる,(3)電源回路から出力されるパルス電圧の時間変化(dV/dt)を制御することでプラズマ形態を変え,分子に与えるエネルギー量と形態を変えられるという3つの仮定の検証のうち,1年目(23年度)に回路の改造と予備実験,数値計算法の確立を行った.2~3年目はパラメトリックな実験を系統的に行ってゆく. この期間で重要な検証は,パルスを打つタイミングおよびパルス間隔を変えることで,生成されるラジカルの作用を変えられるという仮定である.この仮定は,これまでにパルス数や長さを限られた条件であるが変えて実験を行った際に燃焼特性が変化したという事実から立てたものである.従来の研究で,Oラジカルの生成が着火に多大な影響を与えているという計算結果がある.青炎や熱炎など発熱を伴う化学反応はOHラジカルが支配的な役割を果たし,OラジカルはOHラジカルを生成させるための前段階に必要とされるもので,アルデヒドのような役割を果たすと考えられる.アルデヒドは低温酸化が始まるために必要であるが,濃度が高くなりすぎると,逆に高温酸化反応までの時間を長引かせる.他方,高温酸化で濃度を高くすると,高温酸化を促進するという興味深い物質である.また低温プラズマでNOの生成が促進されるという結果は,基礎研究で得られている.このような結果からも低温プラズマを放電する雰囲気のガス組成,圧力や温度によって生成されるラジカルの作用が異なることは予想され,ラジカルをどのようなタイミングで生成するのが着火の制御に役立つのかを明らかにすることは極めて重要である.さらにそれらのラジカルをタイミングよく生成させる手法の提案も必要であり,数値解析から可能になると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定の通り,回路の改良,学会参加旅費,ソフトウエアライセンス費用に充てる.
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