2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560218
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長崎 孝夫 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30155923)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 吸収式ヒートポンプ / 吸収器 / 多孔質膜 |
Research Abstract |
吸収式ヒートポンプにおける吸収液への水蒸気吸収について、吸収液と気相を疎水性多孔質膜を介して接触させるとともに吸収液流路に発泡金属を挿入して熱・物質伝達を促進し、自動車への車載など非従来的用途への吸収式ヒートポンプの利用拡大を図るべく、以下の研究を行った。初年度は、まず基礎となるメンブレンの水蒸気透過特性について実験を行った。実験装置は、蒸発器、蒸気流量計、テストセクション、凝縮器、液タンクで構成され、テストセクションである内径24mmの円管内に取り付けたメンブレンを水蒸気が通過する時の圧力損失を測定する。系内は予め真空排気し、吸収器の作動条件に対応する低圧の水蒸気単成分での測定を行う。孔径1μm、厚さ75μmのPTFE製疎水性メンブレンについて測定を行った結果、圧力損失と蒸気流量は比例関係にあることが分かった。この時のクヌッセン数(分子の平均自由行程とメンブレン孔径の比)は5程度であり、気体分子運動論に基づく理論値と本実験値を比較した結果、両者は概ね一致した。次に吸収実験を行うテストセクションの製作を行った。伝熱面である銅板上に矩形の発泡金属板を拡散接合し、その一端から液を供給し他端から液を排出する。発泡金属板の上面は空間となっており、ここに水蒸気を供給する。銅板の背面は冷却水により冷却され、流れ方向の7点で壁温を測定する。発泡金属板は幅38mm、長さ70mmであり、孔径0.6mm(板厚2mm)、孔径0.3mm(板厚1mm)の2種類のものを製作した。予備実験として単成分水蒸気の凝縮実験を行い、その熱伝達率は発泡金属の空隙部に液が充満しているとした時の予測値に近い値をとることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で使用する多孔質膜について、吸収器の条件における圧力損失が気体分子運動論による理論値を用いて予測できることが分かった。また吸収実験を行う実験装置が完成し、もっとも重要となる真空気密性も十分であることを確認した。さらに予備実験として水蒸気吸収実験を行い、装置の健全性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、次年度はまず蒸発実験を行い、続いてLiBr水溶液への水蒸気吸収実験を行う。なお今年度所要額のうち5,047円を次年度に使用することとしたが、これは今年度末頃に急を要する購入品がなくなった段階で若干の余裕が生じたためであり、次年度の研究費と合わせて使用する方がより有効に研究のため活用できると判断した。この分は実験装置の充実のための次年度消耗品購入に充てる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
測定精度向上のための流量計のほか、吸収液の薬品、バルブ・配管部品、熱電対、実験装置改良のための材料などの消耗品、および国内学会参加費に使用する。
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