2011 Fiscal Year Research-status Report
衝突噴流系における過熱面上の固液接触限定抑制プロセスの可視化計測と数値計算
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23560222
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
永井 二郎 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70251981)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 沸騰 / 固液接触 / MHF点 / 衝突噴流 / 可視化 / 核生成 |
Research Abstract |
可視化計測実験: 透明な単結晶サファイア板(50×50×5mm)を過熱面、低沸点冷媒(HFE-7100、沸点60℃)を試験液とし、過熱面上に液噴流が衝突する際の固液接触状況を過熱面裏側から高速度ビデオにより可視化することに成功した。可視化原理は光の全反射を利用する。すなわち、乾燥表面上では全反射するが固液接触領域では透過するよう光の入射角を調整すると、高速度ビデオ側では乾燥面は明部、固液接触領域は暗部で撮影される。過熱面裏側にシリコンオイルを接触させ、裏面で全反射が起きないようにした。ポンプと弁により所定の流量に調節した液は、内径2~4mmのパイプからサファイア面上へ衝突噴流となり流下する。局所的固液接触領域の等価直径d(t)と発泡点数nの時間変化を計測した。その結果、噴霧(スプレー)冷却時の状況とは異なり、衝突噴流冷却の場合は、局所的固液接触が発生後、ごく短時間の間に噴流直径程度まで固液接触領域が拡大し、その後は比較的ゆっくりと固液接触領域が拡大することが分かった。初期表面過熱度や液温が固液接触状況に及ぼす影響は、噴霧冷却時と定性的には同じであることが分かった。 固液接触領域計算: 液滴衝突系の数値計算プログラムに、過渡沸騰モデルをベースに固液接触有無の判定手法を組み込み、衝突噴流系の計算プログラムを構築できた。ただし、過渡沸騰モデルによる予測(固液接触状態から乾燥面へと移行する時間)値が実現象より長く、次年度以降でのプログラム改良が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可視化計測実験については、当初の計画通りの成果が得られた。すなわち、過熱面上に液噴流が衝突する際の固液接触状況を裏側から高速度ビデオにより可視化することに成功し、局所的固液接触領域の時間変化等を画像計測することができた。 計算プログラム構築についても、おおむね計画通りの成果が得られた。すなわち、液滴衝突系の数値計算プログラムに、過渡沸騰モデルを組み込み衝突噴流系の計算プログラムを構築できた。ただし、「研究実績の概要」で述べた通り、一部改良が必要であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度(平成23年度)に得られた局所的固液接触領域直径の時間変化について、計算プログラムによる予測値と比較検証し、プログラムを改良する。特に、初年度に見出した課題(濡れ状態から乾燥状態に至る時間が、過渡沸騰モデル予測値が長すぎる点)について改良を加える。 そのためには、三相界線近傍の蒸発による反力や、ミクロ液膜蒸発熱伝達特性の組込等を検討する。 可視化計測実験については、過熱面材質を石英ガラスに変えて実験を行い、固体面熱物性の影響を調べ、計算プログラムの検証に用いる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費 141,185円 が生じた。これは主に、当初購入予定であった物品(データロガー)について、同等性能を有する低価格品を購入できたことと、謝金を支払う必要が無くなったためである。 次年度は、ほぼ当初の計画通りの経費執行となる。ただし、消耗品費に計上していた「その他実験装置改修費」が予定額(100千円)よりも多く必要となった。これは、初年度に複数回実験装置を分解・組立したため、装置を新規に製作し直す部分が出たためである。このための経費として、上記 141,185円 を充てる。
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Research Products
(1 results)