2012 Fiscal Year Research-status Report
衝突噴流系における過熱面上の固液接触限定抑制プロセスの可視化計測と数値計算
Project/Area Number |
23560222
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
永井 二郎 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70251981)
|
Keywords | 沸騰 / 固液接触 / MHF点 / 衝突噴流 / 可視化 / 核生成 |
Research Abstract |
可視化計測実験: 平成23年度に実施した衝突噴流(ラミナー流)の固液接触可視化に引き続き、液噴霧(スプレー)時の固液接触状況可視化と計測を行った。理由は、固液接触領域計算プログラムは、液滴列衝突時の固液接触可視化をベースに構築されており、その検証のためにはラミナー流だけでなくスプレー(多数の液滴衝突)流の詳細な可視化データが必要となったためである。 過熱面(単結晶サファイア板)と試験液(HFE-7100)は昨年度と同じで、スプレー実現のため試験液タンクを加圧し、ノズルの適正圧力で噴霧した。同時に液滴流量密度の計測も行った。 その結果、過熱面が高温状態から冷却され、膜沸騰からMHF点を経由し遷移沸騰に移行する際、固液接触の発生は必ずしもスプレー直下とは限らず、スプレー域外周から発生し中心に向かって拡大するケースもあることが分かった(液滴流量密度はスプレー直下が最大)。この現象の発生理由は、数値計算により表面温度分布の時間変化を正確に求めて検討する必要があり、その数値計算検証のためにも正確な表面温度分布(少なくとも3箇所以上)の計測が必要である(次年度以降の課題)。 固液接触領域計算: 平成23年度に、液滴衝突系の数値計算プログラムに固液接触有無の判定手法(接触界面温度と自発核生成温度の大小関係)を含んだ温度場計算プログラムを構築済みであった。今年度は、そこに過渡沸騰モデル(マクロ液膜消耗モデル、一次気泡充満モデル、自発核生成気泡充満モデル)を組込み、固液接触領域内の境界条件を各time stepにて評価し乾燥面に至るかどうか判定するプログラムに改良した。 これまで得られたラミナー・スプレー時の固液接触可視化データにより、次年度以降に計算プログラムの検証を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可視化実験について、当初の計画に含まれていた液噴流(ラミナー)衝突時の可視化に加えて、噴霧流(スプレー)衝突時の可視化実験も実施できた。 スプレー実験は、研究実績の概要で記した通り、数値計算プログラムの検証に必要であるため実施した。 ラミナーと同様に、高速度ビデオによる可視化と局所的固液接触領域の時間変化を画像計測することに成功し、固液接触がスプレー外周領域から初成し中心に向かって拡大するという想定外の知見も得ることが出来た。 固液接触領域計算については、ほぼ計画通りの計算プログラムを構築することが出来た。今後は、2年間の可視化実験データとの詳細な検証と、それによる改良を実施し、その後でパラメータを変化させて種々の条件下での数値計算を実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度が最終年度となる。 まずは、(i) 2年間の可視化実験で得られた局所的固液接触領域の時間変化データ(d(t))により数値計算プログラムの検証を行い、プログラムの最終的な改良を実施する。 それと平行して、(ii) 可視化実験の継続として、表面温度分布の計測にチャレンジする。MEMS技術により表面にマイクロセンサーを設置することで計測を実現する。 研究実績の概要で述べた通り、固液接触初成の場所と拡大の様子は表面温度分布の密接な関連性があると思われ、(ii)の表面温度分布計測は当初の研究計画には無かった項目であるが、予算の範囲内で実施を行う予定。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費 124,356円 が生じた。 これは、当初購入予定であった物品(数値計算用高性能コンピュータ)は既存品で代替したため購入しなかったことと、謝金を支払う必要が無くなったためである。 その代わり、新規にスプレー実験を行うための実験消耗品を購入し、その差額が上記金額である。 次年度は、基本的には当初の計画通りである。 上記差額は、「今後の研究の推進方策」で記した通り、当初の研究計画に無かった可視化実験(MEMS技術による表面温度分布の計測)のために充てる。
|
Research Products
(4 results)