2011 Fiscal Year Research-status Report
微量反応中間体のリアルタイム多種同時検出法による定量的着火燃焼反応機構の構築
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23560227
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小口 達夫 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90324491)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 燃焼化学 / 反応モデリング / 反応中間体 / 急速圧縮機 |
Research Abstract |
本年度は研究計画に従って,まず,レシプロ(圧縮膨張)反応器の設計・製作を行った.市販の水平往復型エンジン機構をベースとして,モーター回転機構(回転数調整機能き)および回転数検出機構を取り付け,ピストンの動作を制御する機構とした.試料ガスは球形に近い反応室内で圧縮され,高圧・高温状態を繰り返し実現する.反応室内圧の変化は歪みゲージ型圧力センサにより絶対圧を常時測定可能にした.反応室外へのガスサンプリングは高速パルス駆動が可能なソレノイドバルブにより行い,圧縮過程の繰り返しにより生成される燃焼反応中間体をサンプリングする.サンプリングされたガスは,差動排気機構を通じて分子ビームとし,飛行時間型質量分析計に導入される.本年度は主として,これらの機構についての動作試験を行った.また,定量的測定に際して必要な基礎的準備として,新しい燃焼化学反応モデルの検証や質量分析計の改良を行った.反応モデルの検証としては,本研究で製作した圧縮装置のスケールアップ版とも言える反応室分離型急速圧縮装置を用いて炭化水素の圧縮自着火反応遅れ時間の測定を行い,対応する反応モデルによるシミュレーション結果と比較した.その結果,実験精度の範囲内で良い一致をみた.従って,本研究においてもこの新しい反応モデルを用い,反応中間体の挙動に着目した圧縮自着火機構の検証を進めることが可能と判断された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応装置製作に関しては実績に記載した通り,当初予定に従って順調に進行している.また,飛行時間型質量分析計の動作に関し,より微小な量しか生成しない中間体を高精度に検出するための工夫として,従来のアナログ信号積算方式から高精度パルスカウント方式に変更し予備試験を行ったところ,信号対雑音比でおよそ5倍程度の改善がみられた.イオン化部やイオン検出部の微調整により,さらに改善が見込め,最終的に10倍の感度向上を目指して改良中である.さらに,最新の燃焼反応モデルに関するマクロ現象(圧縮自着火遅れ時間)の検証が進み,反応中間体の定量的評価を行える状況が整った.
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Strategy for Future Research Activity |
製作し動作試験を行った装置を用いて,まず,従来型燃料の代表であるブタン,ヘプタン等を試料とした反応中間体の検出を行う.その上で,最新の反応モデルに基づいた燃焼シミュレーションを行い,結果を比較する.その差異について,モデルの問題点を抽出し,また,通常のエンジン燃焼における残留ガスの燃焼への影響について検討を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
質量分析計へサンプリングする装置部分の機構追加・改良ガス分析に供するレーザー光学系消耗品の調達ガス試料研究成果の公表(学会参加)に使用する予定.
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