2011 Fiscal Year Research-status Report
物性が大きく異なる流体へ適用可能な内面溝付管内蒸発統一物理モデルの構築
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23560237
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
桃木 悟 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60244034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂地 徹 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90100883)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 熱工学 / 伝熱機器 |
Research Abstract |
1. 調査研究: 動力エネルギーシンポジウム,第4回マイクロスケール伝熱に関する国際会議(HTFFM-IV)にて,管内沸騰に関連する技術や現象のメカニズムに関する調査を行った。2. 事前研究の整理: (1) アンモニア・水混合物の気液平衡特性を考慮した内面ら旋溝付管内沸騰熱伝達の研究に関するこれまでの実験的研究を総括し2011年度IOESシンポジウムで講演した。(2)純アンモニアおよびアンモニア・水混合物の水平内面ら旋溝付管内蒸発流における伝熱と流動様相に関するこれまでの研究成果をまとめて2011年度機械学会にて講演した。(3)フロン系冷媒,アンモニアおよびアンモニア-水混合物の水平ら旋溝付鋼管内蒸発流のこれまでの研究成果の概要を2011年度冷凍空調学会年次大会にて講演した。3. やや低い流量および高い流量におけるアンモニアの内面ら旋溝付管内沸騰熱伝達の実験:佐賀大学海洋エネルギー研究センターにて実験を行い,その結果を整理した。流動様式と熱伝達に関する本格的な整理を行う事前準備として,これまでの手法に則った経験的な方法で整理式を作成した。ここまでの成果については,2012年度の国内学会と国際学会で公表する予定である。4. フロン系冷媒を用いた比較的小口径の溝付管内の沸騰に関する実験の準備: これまでに使用して機器の一部に不具合が生じて実験装置を本格的に組み直す必要が生じたので,使用する熱交換器の選定と購入等,準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した調査研究,事前研究の整理は順調に実施でき国内学会にて講演する事ができた。アンモニアを用いた実験は,当初予定していた流量がこれまでよりも小さい場合と大きい場合の両方において順調に実施する事ができデータを蓄積した。これに関する流動様式の整理と熱伝達の整理の両方とも当初想定していた経験的な方法による予測式の作成までは大きな困難もなく順調に終える事ができ,次年度では国内会議,国際会議の両方にて公表できるレベルに到達している。ただし,もう一方のフロン系冷媒を用いた実験の準備については,装置の重要な部分(冷凍機)に不具合が生じたため検討を要した。改良する事で実験を遂行できるかどうか検討したが,実験装置そのものが完成して10年が経過している事,各種のパーツが劣化している事,デザインが古くもっと単純な構造でより明快な実験ができるようにする事,装置の設置場所となっている建物が古くいつ改修工事が始まっても不思議ではない事等の理由から,別の場所に最初から装置を組み立てる事を選択した。その結果,フロン系冷媒に関する実験やその検討については遅れが生じている。総合的には,一部遅れがあるものの,全体としてはおおむね順調であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. フロン系冷媒を用いた比較的小口径の溝付管を用いた管内沸騰実験装置の制作:当初の予定外の事象であるが,前年度より引き続き装置の制作を進め,年度途中までには完成させる予定である。2. フロン系冷媒を用いた比較的小口径の溝付管内沸騰の実験とその整理:装置が完成次第,流動様式と伝熱特性に関する実験を実施しデータを蓄積する。3. 流動特性や伝熱特性が顕著に変化する事が既にわかっているより低い流量におけるアンモニアの内面ら旋溝付管内沸騰熱伝達の実験:佐賀大学海洋エネルギー研究センターに設置しているアンモニア用の実験装置により低流量の実験を行うための改良を加える。その後ただちに実験を行い,データを蓄積する。4. フロン系冷媒と純アンモニアの水平ら旋溝付管内蒸発における流動様式の整理: 前年度までに得られている経験的に整理検討した結果を基にして,物性の違いを考慮したより解析的な整理手法の確立を試みる。この過程においては,上記(2,3)で測定したデータも利用する予定である。5. 非共沸混合物アンモニア・水の水平ら旋溝付管内蒸発の実験と整理:純アンモニアを用いた実験を終えた後は,少量の水を加えた非共沸混合物の管内沸騰の実験を行い,データを蓄積し,そのデータと4で構築した手法との比較を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. 物品費:(1)フロン系冷媒を用いた比較的小口径の溝付管を用いた管内沸騰実験装置の制作に係る費用:熱交換器は前倒しして購入済みであるので,その他の配管資材や加工に係る工賃等:45万程度。(2)アンモニアの実験装置の保守に要する費用:5万程度。(3)データの整理の際に使用するPC等の機器に関連する費用:5万程度。2. 旅費: (1)調査研究や成果公表に関する旅費:15万程度。(2)佐賀大学海洋エネルギー研究センターでの実験に要する旅費:10万程度。
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