2011 Fiscal Year Research-status Report
固気混相熱流動のためのメニーコアプロセッサを用いた超高速解析エンジンの開発
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23560238
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山口 朝彦 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00284711)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 固気混相流 / 並列計算 / 数値シミュレーション / 離散粒子法 / 格子ボルツマン法 / 格子気体法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、固気混相流の熱流動解析のためのメニーコアコンピュータに適した計算エンジンの開発である。本年度は、研究の初年度として計算手法として離散粒子法の連続相の計算をSIMPLE法から並列化により適した数値解法に置き換える試みと、4ノードのメニーコア並列計算システムの構築を行なった。離散粒子法において、固気混相流の流体を意味する連続相の数値解法としては計算モデルが並列化に適している格子ボツルマン法(以下LBM)を採用する予定であるが、実粒子を意味する分散相との相互作用について検証する必要があるため、本年度はLBMの発想の元となりLBMと同様の計算手法である格子気体法(以下LGA)を用いて分散相と連続相の相互作用の検討を行なった。具体的には、LGAにおける仮想流体粒子の時間刻みと実粒子の運動の時間刻みおよびメッシュの大きさの関係、実粒子の運動に伴うLGAの仮想流体粒子の再配置について、プログラムを作成して条件を振り、実粒子が流体から受ける抗力を経験式と比較して検討した。再配置の方法によっては実際には見られない圧力波が発生するが、LGAによる計算結果は経験式と良好に一致し、流体と粒子間の相互作用を計算できることがわかった。計算モデルの検討と同時に、1ノードあたりIntel社製の6コアCPUを1個とAMD社製のRadeon HD GPUを2枚実装した、4ノードの並列計算システムを構築した。OpenCLによるプログラムミングを支援する開発環境を導入し、現在、ベンチマークテストの実施に向けて環境を整備しているところである。ベンチマークテストが実施できれば、構築した並列計算システムのコストパフォーマンスや、並列化によるスピードアップの評価が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の内容は大きく3つに分けることができるので、それぞれについて達成度を評価する。1. 離散粒子法の連続相の計算で一般的に使われているSIMPLE法を並列計算により適した格子ボツルマン法で置き換えるために、本年度はまず格子気体法を用いてモデルの構築を行ない、予定に先行してプログラムの作成および経験式との比較を行った。計算結果は経験式とよく一致しており、この部分については計画以上に進展している。2. 研究者らがこれまでに作成してきた離散粒子法や格子ボルツマン法のプログラムの、メニーコア、マルチプロセッサ・システムへのチューニングを行なっている。現時点では実行可能ファイルの作成にまでは至っておらず、若干計画よりも遅れていると評価する。3. 開発する計算エンジンのプラットフォームの一部および開発環境として、4ノードの並列計算システムを構築した。1ノードあたり、Intel社製の最新のSandy Bridge-Eを採用した6コアCPUを1個と、AMD社製のRadeon HD 6790のGPUを2枚実装し、4ノードをイーサネットで接続した。より高速のネットワーク接続も可能であるが、本研究の目的は計算手法の開発が主であるので、ネットワーク接続にコストを掛ける必要はないと判断した。システム構築については、新型CPUの発売を待ったために完成が遅くなったが、年度内の構築で、ほぼ計画通りと評価できる。以上より、ソフトウェアの面では一部が予定よりも進展し一部が計画よりも遅れており、ハードウェアの面では計画通りに進展しているため、総合的に判断すると研究全体ではおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果をもとにして、以下のような計画で研究を推進する。1. 離散粒子法の連続相の計算に格子ボルツマン法を導入するために、計算モデルの検討を続ける。具体的には、低レイノルズ数領域において、平成23年度に開発した格子気体法のプログラムを利用して粒子数や計算領域を拡張して計算モデル、特に分散相と連続相の相互作用について検証を行なう。さらに、格子気体法の結果を参考に、より高レイノルズ数領域への拡張のために格子ボルツマン法による計算モデルについて検討を続ける。格子ボルツマン法の離散粒子への導入についてはUniversity of Wales Swanseaにおける先行研究があり、その文献調査を行なう。2. 平成23年度に構築した並列計算システムにノードを追加する。当初の計画では8ノードを追加する予定であったが、導入時に入手可能なCPUやGPUの性能とコストから判断してノード数は変更する可能性がある。現時点では1CPUと2GPUボードを4ノード追加するのが最適であると判断している。本研究の主な目的は、計算手法の開発であるので、この範囲でのノード数の変更は、研究計画にほとんど影響を与えない。3. 平成23年度の研究では若干の遅れを生じている既存のプログラムのメニーコア化を続ける。4. 本研究の成果を紹介するためのWebページを作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画はほぼ当初の計画通りであり、主に並列計算機の構築、および情報収集と成果発表のための旅費である。並列計算機の構築については、市場に出回っている計算機や周辺機器の状況に応じて、最もコストパフォーマンスに優れた計画となるよう、研究計画に大きな変更や支障のない範囲で、随時、更新する。具体的な内容を以下に列記する。1. 計算プラットフォーム充実のために、当初の計画通り計算ノードおよびハードウェアおよびソフトウェアからなる開発環境を1式追加する。計算ノードとしては、平成23年度と同様にメニーコアCPUを1個と2枚のGPUボードで構成されるノードを4つ追加する予定である。2. 熱流体の数値シミュレーションに関する情報収集のためにICONE20に参加する。この他、成果発表のために国内会議に参加する。3. 並列計算プログラム開発のための資料として書籍を購入する。4. 並列計算機の組み立て、搬入、設置のようなパーソナルコンピュータに関する知識は必要だが外部に委託できる作業のために必要な人件費を用意する。
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Research Products
(1 results)