2013 Fiscal Year Annual Research Report
生体組織レベルの凍結保存を目的としたキセノンガスの細胞生存率改善効果
Project/Area Number |
23560241
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
氏平 政伸 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (70286392)
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Keywords | 低温保存 / 凍結保存 / キセノンガス / 細胞損傷 / ヒト皮膚繊維芽細胞 / 保護効果 |
Research Abstract |
本課題の目的は,生体組織レベルの厚みのある試料の低温保存におけるその試料特有の凍結中の細胞間ストレスによる細胞損傷と非凍結の低温自体のストレスを低減するための,キセノン(Xe)ガスの有効性を明らかにすることであった. 本年度は,昨年度に続き代表的な凍結保護物質であるジメチルスルホキシド(DMSO)の効果とXeガス加圧による溶存を併用し,細胞の凍結保存の際の障害軽減の増強効果を調べた.ヒト皮膚線維芽細胞を35 mm培養皿で24時間単層培養したものを実験試料とした.試料に4℃で凍結保護液(10% DMSO+培養液)を加え耐圧容器に入れた.容器中の試料に-5℃でXeガスを加圧添加(0.48 MPa,15 min)し段階的に除圧した.Xeガス添加と非添加の条件で,0.1,0.2℃/min(緩速冷却),0.3℃/min(最適冷却速度),1.0℃/min(急速冷却)の各条件で試料を-40℃以下まで凍結後解凍し,細胞活性により生存を評価した.その結果,緩速冷却条件ではXeガス添加の方が非添加の条件よりも高い細胞活性,即ち細胞障害軽減の増強効果が見られた. その他に本課題事業期間の過去二年間では,非凍結の低温自体のストレスに対する細胞への保護効果を検討した.培養液と市販保存液に浸した試料を耐圧容器に入れ, Xeガスを0.5 MPa(最適圧力)で添加したものと非添加のもので,4℃で0~72時間静置し細胞活性を評価した.その結果,どの液でもXeガスを加圧添加した試料が非添加のものよりも長時間高い細胞活性,即ち細胞への高い保護効果を示した. 以上より,生体組織レベルの厚みのある試料の凍結保存を想定して低冷却速度で凍結した場合に細胞間のストレス軽減にXeガスの加圧・除圧による溶存が有効であることが示唆され,非凍結の低温自体による細胞障害の低減にXeガスの加圧添加が有効であることが明らかとなった.
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Research Products
(2 results)