2011 Fiscal Year Research-status Report
組込型動的デバイスを用いた知的構造による航空機構造の総合的ヘルスモニタリング
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23560252
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
嶋崎 守 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 助教 (20566757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 洋二 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90313006)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 構造ヘルスモニタリング / ラム波 |
Research Abstract |
平成23年度は、CFRP積層板の層間はく離の定量的検知手法を、CFRP製スキン-ストリンガ構造における接着はく離検知へ適用することを目的に、以下の検討を行なった。 広帯域超音波送受振システムのMFCとFBGのデバイスパラメータを検討した結果、CFRP製スキン-ストリンガ構造における接着はく離検知のためには、CFRP積層板の理論分散性に基づいて、100~800kHzの周波数帯域でラム波を送受振できなければならず、それには、MFCおよびFBGの長さは6mm以下であることを実験とFEM解析により示した。また、それらの接着条件としては、カップラントジェルによる貼付よりもエポキシ系接着剤による接着の方が安定的に超音波の送受振が行えることを実験により確認した。 また、MFCとFBGの最適配置を検討した結果、両デバイスとも高い指向性を有するため、その配置は一直線上に配置すること、また、ラム波の伝播距離が長くなるほど波長の長い伝播モードの振幅が相対的に強くなるため、接着はく離検知のために注目する伝播モードによって伝播距離、すなわち両デバイスの接着間隔を決定するのが有効であることを実験によって示した。 さらに、はく離進展と周波数分散性の変化の関係に基づいた接着はく離検知手法を検討した結果、まず、MFCを積層板の両面に接着してラム波の対称モードと非対称モードを分けて伝播させ、各モードのより正確な同定を行なった。これにより、はく離終端でのモード変換を詳細に観察した結果、同じ周波数帯域のモードへ変換されるが、どのモードに変換されるのかは理論分散曲線と比較することで説明できることを示した。さらに、損傷検知実験結果から、伝播速度差の大きなモード変換に着目すれば、はく離長さによって到達時間が大きく変化するので、接着はく離長さの定量的検知の可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、当初実施計画として、(1)広帯域超音波送受振システムのデバイスパラメータの検討、(2)アクチュエータとセンサの最適配置の検討、および、(3)はく離進展と周波数分散性変化の関係に基づいた接着はく離検知手法の検討の三点を挙げた。このすべてについて、概ね良好な検討結果を実験と解析によって得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、以下の3点を検討する。 まず、MFCアクチュエータの動的ひずみセンサ特性を検討する。MFCを試験片に接着し、ひずみを負荷して計測結果を時間領域と周波数領域で確認することで、MFCの動的ひずみセンサとしての特性を検討する。 また、動的ひずみ計測システムを検討する。微小な衝撃により伝播するAE波を、超音波送受振システムと同じデバイス構成で構築が可能であるかを検討する。 さらに、衝撃・微小クラックと受振ひずみの関係を検討する。負荷点や大きさを変化させて衝撃荷重をスキンに負荷し、各MFC受振ひずみがどのように変化するか調べる。さらに、衝撃によって内部損傷が発生すると、計測されるひずみ波形に特徴的な変化が現れると予想される。そのため、受振波の振幅と周波数特性から内部損傷の発生の有無を推定可能な指標を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(次年度への繰越額)が117,568円となった。これは、MFCアクチュエータの使用量(購入量)が当初予想よりも少量で済んだことと、輸入商品のため円高による購入単価の低下が理由である。 このため、平成24年度は、直接経費が1,500,000の当初計画から1,617,568円に変更する。この内訳は、物品費を1,000,000円の当初計画から1,117,568円に変更する。増額分はMFCアクチュエータの購入に充当する。また、旅費は当初計画どおり350,000円、人件費は当初計画どおり40,000円、その他は当初計画どおり110,000円である。
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Research Products
(3 results)