2011 Fiscal Year Research-status Report
超磁歪・圧電ハイブリッドマイクロパワージェネレータの研究
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23560260
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安達 和彦 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30243322)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 振動発電 / スマート材料 |
Research Abstract |
初年度の平成23年度は、超磁歪素子の振動・電磁・温度特性の実験的評価と超磁歪振動発電の実現可能性の実験的検証を行った。 振動発電に用いる超磁歪素子には、国内で入手可能であったTerfenol-D材の円柱形状品(直径6mm、長さ25mm)を用い、縦割りにして片持ちはり様の振動子を構成した。振動子には永久磁石を配置して、超磁歪素子にバイアス磁界を加えた。ただし、バイアス磁界の強度はカタログ値を使用することとし、実測評価ができていない。動電型加振器で前記の超磁歪素子から構成した振動子を加振し、磁場計測器(平成23年度導入)で磁束変化を測定した。また、加振時の超磁歪素子表面温度を熱画像カメラ(平成23年度導入)で計測した。 実験の結果、振動子の共振周波数は約百数十Hzとなった。加振強度は、過去に試作した圧電振動発電装置での加振強度と同じ0.71mm/s(RMS)とした。この加振実験により、超磁歪素子の磁束強度の変化が計測でき、超磁歪振動発電の実現可能性を示唆する結果を得た。しかし、発電用コイルの構成が試行錯誤となり、現状の素子から取り出せる最大電力がいくらであるかは確定していない。 一方、振動発電シミュレーションについては、公表文献による先行研究事例でのモデル化を参照して電磁・機械連成系の支配方程式を導出するとともに、構造解析ソフトによるシミュレーションを進めた。 超磁歪素子を用いた振動発電については、振動工学分野では米国メリーランド大学のA.B.Flatau教授らが、平成22年と平成23年の米国機械学会スマート構造国際会議(SMASIS)で研究成果発表を行っている。そこでは、脆性材であるTerfenol-D材の代わりに延性材のGalfenol材を使用している。一方、国内では、金沢大学の上野敏幸准教授らが超磁歪振動発電に関する未公開特許を保有するとの情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の平成23年度の課題は、超磁歪素子単体での特性評価と、超磁歪振動発電の実現可能性の実験的検証であった。超磁歪素子単体での特性評価では、加振周波数特性の評価については現時点で妥当なデータを収集できた。しかし、電磁特性(磁束変化)の評価については、バイアス磁界の強度を実測評価できておらず、加振条件下での磁束の計測の条件設定が不充分となり、超磁歪振動による発電特性が充分評価できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度の超磁歪素子単体の特性評価で不充分であった部分について追加の評価実験を実施する。その後、得られた超磁歪素子単体の特性に基づき、超磁歪素子と圧電素子を組み合わせて片持ちはり型の機械共振式のハイブリッドマイクロパワージェネレータHMPGを設計・試作する。試作したHMPGの発電特性を実験的に評価し、発電効率を実測評価する。また、数値シミュレーションにより試作したHMPGの発電特性を解析する。平成23年度および平成24年度に得られた研究成果を米国機械学会スマート構造スマート構造国際会議(SMASIS2012)で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、支出項目の端数により3,988円の研究費が平成24年度に繰り越すこととなった。この繰り越し分と平成24年度に請求する研究費を合わせて、以下の用途に使用する。物品費として、数値シミュレーション用の構造解析ソフトと超磁歪・圧電材料を購入する。旅費として、米国機械学会スマート構造スマート構造国際会議(SMASIS2012)他で研究成果発表のための国内・外国旅費を予定する。その他の費用として、前記研究成果発表の学会参加登録費と論文投稿料を予定する。
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