2012 Fiscal Year Research-status Report
BTA深穴加工における工具の振動抑制手法に関する研究
Project/Area Number |
23560262
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松崎 健一郎 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (80264068)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 孝宏 大分大学, 工学部, 教授 (60230877)
宗和 伸行 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40304753)
|
Keywords | BTA / 深穴加工 / ライフリングマーク / パターン形成 / 自励振動 |
Research Abstract |
被削材回転型のBTA深穴加工について,実験によるスパイラルマーク発生現象のより詳細な把握や切削条件の影響の調査などを行った.さらに,加工装置実機におけるボーリングバーの支持状態を考慮した解析モデルを検討し,その解析モデルを用いた解析によりスパイラルマーク発生条件の詳細な検討を行った.その結果,以下の成果を得た.(1)加工時の振動解析結果および加工穴の円筒度の計測結果から,スパイラルマークは発生初期に指数的に成長し,その後ほぼ一定振幅になることが確認された.また,位相が規則正しく変化しスパイラルが形成されることを確認した.(2)対策工具による加工実験では,スパイラルマークが発生せず,振動振幅の変化や位相に規則的な変化がないことを確認した.(3)切削条件の影響を調べるために,回転数および送りを変化させた実験を行った.理論的には5角形以外の角形数が発生しやすいと考えられる回転数でも主として5角形が発生し,理論では考慮できていない要因が考えられる.(4)BTA実機でボーリングバーの打撃試験を加工穴の深さを変化させながら行うことにより,穴深さに対する固有振動数および固有モードの変化を詳細に調べた.(5)BTA実機におけるボーリングバーの中間支持部とオイルプレッシャーヘッド部を分布ばねでモデル化し,実験結果を参考にして分布ばねのパラメータを検討した.その結果実験結果と非常に良く一致する固有振動数と固有モードの計算結果を得た.(6)BTA実機のボーリングバー支持状態を考慮した解析により,運転回転数,穴深さ,発生角形数の関係について,詳細に検討した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画における本年度の主な研究内容は,(1)被削材の回転数,工具の送り,ボーリングバーの支持状態などの切削条件の変更がライフリングマーク発生状況に及ぼす影響の検討,(2)実機の条件や振動計測結果に基づく解析モデルの提案と改良,の二つであった.本年度,これらの内容について着実に研究を遂行できている.以上の理由から現在までの研究はおおむね順調に進展していると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展しているので,当初の実施計画通りに研究を推進する.主として,穴深さと不安定度の関係の実験による検証,支持状態の変更や動吸振器による防止対策の理論および実験からの検討,ガイドパッドの配置や曲率半径などの影響の調査を行う.さらに,工具回転型BTAについて解析を中心に展開を進める.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は,実験計画に若干の遅れが生じたため,追加の計測装置や実験用消耗品の購入を行わず,一部の研究費は次年度に使用することとした.次年度は,計測用センサの追加購入のために452千円程度,実験用およびデータ処理用の消耗品費として337千円程度,研究打ち合わせおよび成果発表のための旅費として400千円程度,その他論文投稿などの費用として100千円程度の使用を計画している.
|
Research Products
(5 results)