2011 Fiscal Year Research-status Report
MEMSに生じる電界-構造-流体連成振動現象のモデリングと連成効果の検討
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23560263
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀江 知義 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (40229224)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 静電気力-構造-流体連成現象 / 3現象連成効果 / MEMS / 連成解析 |
Research Abstract |
MEMS (Micro electro-mechanical systems)には静電界,流れ,磁場などの環境下で機械的な動きや変形が生じるため,マイクロ・スイッチやマイクロ・プローブなどの駆動機構の開発および設計には,複数の物理現象が相互に影響を及ぼしあう連成現象の定量的な評価が不可欠である。 初年度は,静電界とシェル構造の変形の2現象の連成を解析する,3次元静電気力-構造連成解析コードを開発し,並行してマイクロはり構造の作成と測定の準備を行った。解析および実験により,静電気力-構造連成効果に及ぼす,たわみ,速度,空気抵抗,サイズなどの支配因子の影響について検討し,静電気力-構造連成現象のモデル化の妥当性を検証した。 大変形に伴う電界および静電気力の変化を考慮した,静電気力-構造連成解析コードを開発した。連成解析法としては,分離型解法および一体型解法を用意した。静電気力の分布が連成効果に及ぼす影響を検討するため,静電気力の計算法として,弱形式により節点力として評価する方法、数値積分により辺上で評価する方法を備える。 電界発生用プログラマブル電源,ビーム径が細く,高い振動数域まで変位測定が可能なレーザドップラー振動計,空気の影響を除去した精密な測定が可能となるよう,小型の真空容器,真空排気系などからなる変位測定装置等を準備し,マイクロはり構造の動的なたわみ変形を測定した。印加電圧波形,試料の固定,変位測定位置,応答速度等を調整し,負の付加剛性効果が測定できることを確認した。 真空状態で,印加電圧,波形,加振周波数,試料サイズを変えて応答変位を実験により測定した。負の付加剛性効果,付加質量効果,形状等のばらつきが及ぼす効果,電界の集中が及ぼす効果について,各条件に応じた3次元静電気力-構造連成解析を行い,連成効果のモデル化の妥当性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通り,3次元静電気力-構造連成解析コードを開発し,並行してマイクロはり構造の作成と測定の準備を行うことができた。解析および実験により,静電気力-構造連成現象のモデル化の妥当性を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従い,2年目は静電気力-構造-流体連成現象,3年目は電磁-構造-流体連成現象に焦点を当て,3現象連成効果について,大規模連成並列解析と実験により,連成効果のモデル化の妥当性の検証と,最適な解析方法の提案を行う。 静電気力-構造,流体-構造の2つの2現象連成のほか,構造の振動を介して3現象が連成する3現象連成について,支配因子への依存性を定量的に求め,実験結果および解析結果から連成力学モデルの妥当性を検討する。負の付加剛性,付加質量,形状効果,電界の集中が3現象連成効果に及ぼす影響を検討し,最適な連成解析方法を提案する。さらに,サイズの小さい領域,気圧の低い領域において,非圧縮性粘性流れ近似に基づく連成効果の評価方法の適用限界を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は,実験における測定装置の導入に時間を要したため,実験サンプル数がやや不足気味であり,消耗品の使用量も少なめであった。2年目以降は,サンプル数を多めに取り,実験の精度を高める。また,連成解析用に計算サーバを導入する。それ以外は,当初の計画通りに研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)