2011 Fiscal Year Research-status Report
長さ変化を伴う柔剛混在多体系動力学における統一的解析手法の確立
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23560268
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
曄道 佳明 上智大学, 理工学部, 教授 (50262118)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | マルチボディダイナミクス |
Research Abstract |
今年度は、時変な固有特性を有する柔軟多体系の3次元運動解析手法を確立する予定であった。その代表要素として梁要素を考え、固有特性の時間的変化をその長さ変化によって与え、大変位、大回転、微小変形問題について、FFR法を用いた時変系の解析手法を提案した。一方、大変位、大回転、大変形問題に対応するために、ANC法を用いた時変系解析手法について検討した。これらの手法は、近似的な高速解法であるが、従来の手法と比較した場合の、計算コスト、精度などの検証を行い、提案手法の適用範囲や力学原理に対する精度管理についての検討を行った。今年度は、2次元解析の範囲に留められたが、大変形問題にも対応することができたため、進度そのものは遅延が生じたわけではない。一方、時変な固有特性を持つ柔軟体の3次元運動解析の理論構築の基本的な実験的検証のために、柔剛混在のブーム、ケーブル系によるクレーンシステムの実験装置を設計し、製作を依頼した。柔軟体の3次元運動を含めた測定に対応させるために、ねじりや並進変位の連成などの運動の特徴を捉えられる実験装置とする必要があるが、長さ変化を伴うケーブルの3次元運動解析を主眼とした実験装置とした。また、これらの運動を測定するために画像解析による計測システムを構築する必要がある。今年度においては、この画像処理のためのソフトウェアについて試使用を行い、一定の精度で計億が行えることを確認の上、別途購入した。これにより、基本的な実験的運動解析の環境が整ったことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論解析手法の提案では、3次元解析手法を目指したが2次元解析の範囲にとどまっている。しかしながら、次年度に予定していた大変形問題への対応が概ね満たされたことの成果は大きい。3次元化に向けて、次年度の解析を拡張していくことで進度上の問題は解消されると考えられる。一方、実験装置の設計製作については、計画された2次試験装置の範囲を含めてほぼ達成された。したがって、実験装置については予定以上の進度である。次年度前半に測定システムの整備を図ることで大きな進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では、概ね予定された進度で研究が遂行されており、当初計画された残課題について理論解析および実験を進めていく。 平成23年度に実施した長さが変化する2次元柔軟多体系の解析手法を、3次元および柔剛混在系へと展開する。物理的洞察の下で適切な時間および空間の尺度を設定することにより、剛性の異なる物体の拘束運動を精度よく近似する高速解析法を開発する。汎用性を持たせるために、柔剛混在多体系の結合形態、拘束条件、自由度などから、自動的に無次元運動方程式を導出するための多重尺度の与え方を考案する。また第2次実験装置を設計する。第1次実験装置に加え、さらに旋回しかつ長さが変化する柔軟なブームを導入する。初期段階での試作、検証が必須と考えられるが、ブームおよびロープという柔剛混在の長さが変化する系の実験装置を平成25年度までに完成させ、実験を並行して行う。 次に提案手法を3次元運動へ拡張する。弾性力の導出にあたって、多重時間尺度法適用が複雑になるため、高速解法のための適切な無次元化が必要となることが予想される。梁のねじりによる弾性復元力の導出や、ねじりと並進変位の連成項を含むため、2次元問題理論の単なる拡張では収まらない。柔軟多体系の運動解析の汎用的な実現のためには、高速解法である必要があるからである。引き続き、旋回かつ長さが変化する柔軟なブームを導入した実験装置を開発、完成させる。これにより柔剛混在の時変系実験装置が完成することとなる。この課題には実験的なアプローチによる運動メカニズムの解明も期待されるため、当該年度は実験および測定システムの確立と基礎実験を行う。 最後に構築された提案手法による数値解析結果と実験装置での実験結果との比較検討を行う。これにより時変な固有特性を持つ柔剛混在系の3次元運動解析の解析手法の検証が行われることになる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度研究費の主な使用計画は以下の通りである。1.実験装置の資料部材の調達(消耗品)2.測定装置整備(測定システムのバージョンアップ、取り付け冶具の製作)3.実験及びデータ整理謝金4.研究成果発表 (会議参加費、旅費)
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Research Products
(1 results)