2012 Fiscal Year Research-status Report
線形行列不等式応用が拓く高精度2自由度位置決め制御系設計の実用化展開
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23560288
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩崎 誠 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10232662)
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Keywords | メカトロニクス |
Research Abstract |
平成24年度には,平成23年度に実施した「LIMを用いた2自由度位置決め制御系の設計論の確立」および「テーブル位置決め装置による設計論の基礎検証」に引き続き,以下の2点を重点的に研究展開した。 1.ロバスト補償器設計の応用検証: 本2自由度制御系設計手法の応用検証として,プラントにパラメータ変動が生ずる場合にも所望の位置決め性能を保証する,ロバストFF補償器設計を行った。具体的には,プラント変動を有する2自由度制御系モデル出力を制約条件に加えることで,想定するプラント摂動範囲内で所望の位置決め精度を担保するFF補償器設計を実現した。その実機検証に際しては,平成23年度に本科研費にて整備したボールねじテーブル位置決め装置のパラメータを直接変動させて,ロバスト位置決め制御性能評価を実施した。更なる応用検証例として,位置決め装置から発生する駆動音レベルを制約条件に組込み,所望の騒音抑制を併せて実現可能な高精度位置決め制御系設計を試みた。そこでは,騒音測定システムによって実際の騒音レベルも評価した。 2.2自由度制御系設計論の応用展開: 本2自由度位置決め制御系のFF補償器設計に際しては,制約条件に対する評価指標の解空間の中で最適化問題を解くことになるため,この解空間を最適化問題の可解条件として捉えて解析すれば,評価指標を低く抑えるFB補償器パラメータや機構系パラメータの範囲を逆に指定可能である。本年度には,これをFFとFBの連携設計,機構系と制御系の同時設計と位置付け,提案補償器設計論の応用展開とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の平成24年度研究計画・方法に従って,さらに平成23年度に中に前倒し実施した設計論の基礎検討を基に,ロバスト補償器設計論の応用検証および2自由度制御系設計論の応用展開基礎検討が順調に実施された。それらは,実機検証によって制御目標・仕様を満足することで提案手法の有効性を示すことができた。特に,本年度に整備した実験装置(振動台上に設置したテーブル位置決め装置)に対する,これら一連の設計論と実験検証は,以降に示す学術論文や学会口頭発表により,その成果を広く公表できた。 さらに,ロバスト補償器設計への展開に関しては,制御系CADベースの数値シミュレーションによって,設計論の応用検討を年度前倒しで実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には,特に「2自由度制御系設計論の応用展開」について,制御系と機構系のパラメータに対する同時最適化の検討および実機実験検証を推進し,本研究課題の纏めとしたい。そして,平成26年度の新たな研究課題提案の準備として,1)LMI応用による非線形補償を含めたロバスト位置決め指令生成,2)位置決め指令生成に伴う最適な機構形状の設計手法,それぞれの基礎を検討し,本研究課題の応用展開に繋げていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度までに本研究課題の実機検証に資する設備備品整備は終了したため,平成25年度にはそれらの実機設備を流用しつつ,消耗品費として当初計上した制御系CADおよび有限解析ソフトによる数値シミュレーションおよび評価を実施する。 一方,本研究課題の成果を幅広く纏めた内容を,国内外の学会にて口頭発表し,さらに学術論文として纏めて論文投稿する予定である。そのための,研究成果旅費および研究成果投稿料として研究費を使用する予定である。
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