2011 Fiscal Year Research-status Report
脆弱な瓦礫上での脚歩行ロボットによる足探りに関する研究
Project/Area Number |
23560289
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
徳田 献一 和歌山大学, システム工学部, 助教 (60335411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
似内 映之 和歌山大学, システム工学部, 助教 (00304189)
衣笠 哲也 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (20321474)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 知能ロボティクス / 地震 / 機械力学・制御 / 認知科学 / 足探り / ロボットミドルウェア |
Research Abstract |
本研究の目標は,建物が崩壊してできた瓦礫上を歩行するロボットに足探り能力を与えることである.足探りとは,脆弱な瓦礫上を人間が歩行する際に見られる行為で,これにより足裏や爪先を地面に押し当てる複雑な動作により足場の崩れやすさを評価している.これには,押しつける動作と得られる感覚との関係を結びつけるスキルが必要である.特に,崩れ落ちる足場を地面の変形の過程で評価することは容易ではない.本研究では,崩れ落ちる足場を探るスキルをロボットに埋め込むために,足探り押しつけ動作と路面から得られる感覚との関係を明らかにし,崩壊する地面を探るための戦略をロボットが獲得することを具体的な目的としている.足探り動作について,初年度での研究結果により(1)足探り反射動作,(2)足探り解析動作,(3)足探り脚支持動作,の分類を行った.このうち,(2)の解析動作とは,足探り反射動作によって得た足場についての推定結果を確認するためのアクティブタッチである.また,このアクティブタッチの際には,足探りに直接関与しない支持脚によるロボット筐体を介して伝達される力の計測が足探りに対して有効に寄与することがわかった.このことにより,足裏が接地する地面から直接伝わる周波数成分と,ロボット筐体を介して伝わる周波数成分の2つに大別される予想を得た.この予想について,フーリエ変換およびウェーブレット変換による解析結果は,これら2つの周波数成分とそれ以外を用いて足探り解析できる可能性があることを示している.また,さらに足探り時の脚が瓦礫に対して滑る現象に注目し,滑り検出を足探りの中での検出に試み,表層が脚に対して密着した状態での地面内部すべりの検出を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は足探りによって得られた路面状態の解析として,具体的に次の3つの計画を立てた.(1)人間の足探り測定システムとロボットの足探り測定システムの構築:F-SCAN(足裏圧力分布測定装置)と光学式モーションキャプチャによるデータを関係づけられるような,測定システムを構築する.(2)人間による足探り動作による足裏圧力分布と路面状態の関係についての解析:任意の押しつけ動作に対する,足裏圧力分布との関係について解析を行う.そのために,まず,人間の足探り動作の測定を,F-SCAN(足裏圧力分布測定装置)と光学式モーションキャプチャによるデータを関係づけて実施する.(3)ロボットによる足探り動作による路面状態の解析結果との比較評価:ロボットの足裏センサとロボットの姿勢・各部位の位置関係を用いたロボット足探りによる路面状態結果の解析を行い,人間による足探り動作との比較評価を行う.このうち(1)足探り測定システムの構築を行うことにより,(2)人間の足探り動作による足裏圧力分布と路面状態についてのデータの取得を行うことができるようになった.解析手法として足場周波数解析を試み,鉛直下向き方向への足下げによる足裏圧力と路面との間の関係の解析を行うことができた.(3)の足探りについては,1脚支持状態での足探りに固定することによる足探り動作時の特徴量表現を限定することでの解析を行うことができた.以上より,初年度の計画はおおむね達成したと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は次の2つを中心として行う.(1)初年度に当初計画どおり構築した人間の足探り測定システムを用いて,足探り動作を引き続き行う.初年度明らかになった課題として,足探り結果の周波数解析手法の確立を目指す.特に,探り脚と支持脚それぞれによる探り結果の周波数解析は,足探り動作にとって重要な鍵になると考える.(2)ロボットシステム上で足探り動作を埋め込むために,水平分散アーキテクチャFDNet上での足探りスキルの表現を行う.水平分散アーキテクチャは人間の脳神経回路を模したロボットミドルウェアであり,感覚と運動の間の処理をネットワークで表現することを特徴としている.そのため,スキルの表現は,特徴量間の処理ネットワークとして表現する必要があり,従来システムのスキル表現とは異なる表現形式が必要となる.具体的な研究計画としては,まず第一に,感覚,運動に接続されるべき特徴量を抽出する必要がある.その次に動作プリミティブとして分節化された各シーンに対する動作と感覚の間に起こる特徴量記述を試みる.これら記述された特徴量ネットワークの動作の評価については,1関節につき1つのモーターと1つのポテンショメータを単位とするモジュールロボットを用いる.ここに挙げた2つの研究推進方策により,本研究課題である「脆弱な瓦礫上での脚歩行ロボット」による「足探り」について,人間からの足探りの抽出とロボットへの埋め込みの手法について明らかにすることができると考える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費使用計画の柱は次の3つである.(1)ロボットミドルウェア水平分散アーキテクチャの構築(2)モジュールロボットによる実験環境構築(3)研究成果発表このうち,(1)についてはネットワーク接続された複数の計算機上での構築を行わないといけないが,汎用のPCを利用し,使用料が発生しないOS(Linux)や開発環境(Java)の利用により必要とする研究費を最小限に抑える計画である.また,(2)のモジュールロボットは既存設備であるモジュール型小型歩行ロボットRoQ-IIIを利用する.RoQ-IIIは脚にとりつけられたサーボモータとポテンショメータを対として備えた1モジュール2脚からなるロボットシステムであり,これを3セット接続することにより6脚ロボットとして瓦礫上歩行を行うことができる.事件殿研究費の一部を用いることにより,この小型歩行ロボットを計算機ネットワークと接続するインタフェイスを製作する.(3)研究成果発表は,日本機械学会,日本ロボット学会,計測自動制御学会での発表を計画している.
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Research Products
(5 results)