2011 Fiscal Year Research-status Report
脳波を用いた動作精度の事前推定に基づく予測制御に関する研究
Project/Area Number |
23560294
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
鈴木 哲 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50306502)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 賢太郎 関西大学, システム理工学部, 教授 (80288795)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 生体信号処理 / 意図推定 / 予測制御 |
Research Abstract |
EEGを用いたリアルタイムによる動作精度の推定システムの構築を目指した.実現へ向けての課題として,加算平均を行わずにリアルタイムでMRCPに関する情報を抽出する方法の検討,また,高精度且つ安定して動作精度推定できるパラメータの抽出,の2点が検討を要する事項となる. まず,リアルタイムでの情報抽出方法については,ある程度の学習をさせた上での検出方法が有効であると考え,一般的な線形判別分析,ニューラルネットを用いた方法,サポートベクターマシンを利用した方法など複数の方法を検討した.その結果,サポートベクターマシンによる抽出方法が最も効果的であった.そこで,動作精度が高い場合に発現したMRCPを教示波形として,その波形に対して一致度の低い場合に精度が低いと判定する判別する,といった学習機能を有したリアルタイムでの解析システムをLabVIEWを用いて構築した.検証は次年度行うこととなった. また,MRCP内の情報を安定して抽出できるパラメータについては,自動車のハンドル操作を想定した模擬実験を通して検証した.その結果,過去には動作開始前500msecから発生するNS(NegativeSlope)の傾きを用いていたが,RMS値を用いることで安定して動作精度を推定できることが分かった.今年度試作したシステムには,NSの傾きを用いて判別しているが,今後RMS値も併せて取得し判別の際に反映させる機能を試作システムにさらに組み込み検証する方針である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請の研究の検証実験により,精度の推定時に利用する脳波のパラメータについて,先行研究で利用していたパラメータ以外にもさらに別のパラメータを独自で見出すなど,当初検討していたもののほかにも成果が得られている.今後これらのパラメータを用いることにより,システムの安定性が向上すると考えられる.また,2年度目以降に予定していた,初年度の成果発表の準備を予定通り進めていることなど,ほぼ当初の予定通りに研究自体は進んでいる. 一方で,システム化についてもほぼ予定通りで進んでいるが,ペーストレスの簡易脳波計をはじめとするハードウェアの試作は出来ているものの安定性が悪いため,今後対応を検討する必要がある.
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度は動作前の生体情報の取得とその応用方法の検討,およびそのシステム化を目的としたが,次年度はそのシステムの検証実験,さらに動作後の生体情報の取得と応用方法の検討,およびシステム化への反映を検討する. まず,初年度のシステムの検証実験として,自動車のハンドル操作を想定した実験により,実際に動作精度を推定することとする.コンピュータディスプレイの中央に表示された,ハンドルの動きと同期して動くマウスカーソルを,300pixel程度離れた位置にあるターゲットまで移動させ一致させる,といった単純な動作を行わせる.その際にどの程度の確率で推定可能かを調査する. また,次年度注目する脳波中の情報はERN(Error Related Negativity)を調査対象とする.ERNは,動作中の修正運動の反映であると仮定され,作業者の意図とその動作にズレが生じている際に出現するという特徴から,ERNが観測された際には作業者の意図と異なるため,手動制御系における入力機構に対しどのようなフィードバックを返すべきかを検討する.ERNの出現量からどの程度修正したいかを推定し,前年度構築したシステムにより推定した動作精度に対して逐次補正するといった動的なシステム制御機能を検討する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,本来の検討事項である動的なシステム制御機能を有するシステムと入力デバイスを構築を検討するため,制御ボードや入力デバイスの購入を検討している. また,検証実験での生体信号計測を行う上での電極など消耗品の購入,その他,国内での成果発表のための旅費の計上を検討している.さらに,今年度の課題となった,ハードウェアの安定性を測るために脳波計システムやその付属部分の修正のための処置が必要であり,そのための部品購入を検討している. なお,簡易脳波計作成に際し,計画時の支出とは結果的に異なったため繰越金が発生したが,次年度システム制御機能に対して割り当てる方針である.
|