2011 Fiscal Year Research-status Report
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23560296
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
川合 忠雄 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20177637)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 診断 |
Research Abstract |
平成23年度は、特に以下の点を中心に研究を行った。【(1)加振方法】道路の路面に衝撃を加える加振装置を開発する。路面への衝撃力の時刻変化およびその大きさによって診断の精度が変化すると考えられるので、橋梁(路面、鋼床版、Uリブを含む)のFEMモデルを作成し、衝撃力によって生じる波動の伝搬について解析を行う。モデルの作成に当たっては、鋼床版とアスファルトを接合し、鋼床版の下面から衝撃を加えた場合とアスファルトの上面から衝撃を加えた場合について解析を行った。【(2)加振点およびセンサーの配置】上記FEMモデルを用いて加振点と亀裂箇所、センサー位置との相対的な関係を種々変化させ、加振装置およびセンサーをどのような配置にしたときに亀裂の検出精度が良くなるかを検討した。アスファルトの上面から衝撃を加えた場合には、アスファルトの密度が低いために、衝撃がうまく鋼床版に伝わらず、鋼床版に生じている亀裂での反射がほとんど観察できなかった。一方、鋼床版の下面から衝撃を加えた場合には、鋼床版の密度が大きいために、き裂部分での衝撃波の反射もうまく生じた。センサー位置としては衝撃位置の真上(アスファルトの上面)が一番よく衝撃波を検出することができた。【(3)亀裂同定手法の開発】センサーで検出できる衝撃波についてWavelet解析等を用いて解析を行ったが、き裂での反射は以外にも、アスファルトと鋼床版の界面での反射波等、多くの信号が検出されたために、十分な精度でき裂による反射波を検出するためにはもう少し時間が必要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FEMモデルの制限上、有限の長さで橋梁をモデル化する必要があり、それによって実際の橋梁では生じない境界での反射が生じてしまった。また、アスファルトと鋼床版との接合についても問題が生じ、両境界面での衝撃を適切に評価できていない。したがって、FEM解析によって得られた結果に対して、再度検証を行い、実際に生じるはずの信号とモデルの制約によって生じた信号との識別をきちんとする必要が生じた。このために、き裂の同定を行うための時間が十分に取れず進捗が少し遅れ気味になった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、まず平成23年度の課題(き裂の同定手法の開発)に取り組み、FEM解析を用いて、加振方法、加振位置、センサー信号の取得、き裂の同定を解決する。次に、当初予定通り、橋梁の実験装置(全長2m程度)および加振機構(1つ)を作製し、23年度に開発した手法の検証を行う。モデルには種々の亀裂を組み込む。加振機構については、実際にモデルに加わる衝撃力の計測および評価を行う。また、モデルの橋梁を伝搬する衝撃波についても歪みゲージ等を用いて可能な限り計測する。モデルには数個の加速度センサーを取付け、計測した信号から亀裂の位置を23年度に開発した手法を用いて検出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、23年度に引き続き、計算機センターでFEM解析を行うと共に、橋梁の実験装置を作製する。さらに、情報収集・情報交換のために旅費を支出する。
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