2013 Fiscal Year Annual Research Report
光融合型マイクロ総合分析システム(μーTAS)構成法の研究
Project/Area Number |
23560299
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
大久保 俊文 東洋大学, 理工学部, 教授 (60349933)
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Keywords | TAS / マイクロ流路 / 光導波路 / FDTD法 / BPM法 / 前方散乱光 / 側方散乱光 |
Research Abstract |
本研究は、半導体チップサイズの小基盤上に血液導入の微細な流路を設け、極微量の検体を反応、分析、分取することで、多様な生体情報を採取できるチップの実現を目指してきた。これは総合分析システム(TAS)と呼ばれ、大量の検体処理には向かないものの、極微量検体について複雑で多様な分析を並行的に行える上に、集積化の可能性もある。これを人体に付設すれば連続的な生理学情報が採取でき、携帯等を介してネットワーク化することで、病理情報の蓄積、分析、判断なども可能で、今後の予防医学の普及・進展にも貢献できる。 本研究では、分析には主に可視光を用いるが、流路への検体付着・詰まりも予想されるため、流路断面形状は血球サイズの数倍程度とし、加えて分析光の導入や散乱光の集光のための光の通路をオール樹脂導波路とした一体構造をTASの基本(使い捨て可)に据えた。 このような研究提案を現実化するためには、大型で高速の分析装置であるフローサイトメータ機能を、高速性を度外視してチップ上に実現することが必要となる。これに対し、初年度には光回路等に使われていた樹脂製導波路に着目し、微細溝加工を併せて施すことで、細胞の倍程度の寸法の流路と導波路からなるシンプルな光照射・検出系を実現し、直径5μm程度のポリスチレン球の応答を採取できた。次いで、微弱な側方散乱光をチップ面内で完結して採取する課題に取り組み、流路の一部を光伝搬路として併用することで、感度よく散乱光を検出可能とした。最終年度においては、扁平導波路の一部に任意形状の人工欠陥アレイを形成し、これをマイクロ光源として近接配置した流路を通過する検体細胞に、面状、線状等の光照射を行うことで、細胞内部の光特性分布を検出する試みに挑戦した。アレイ加工の難度やコストの課題もあり、現状は一様面状アレイのみの検討に止まっているが、新規照光手法と応答採取の可能性をある程度実証できた。
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