2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560302
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
鳥井 昭宏 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70267889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道木 加絵 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (00350942)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 圧電素子 / インチワーム / 精密位置決め / 多自由度 |
Research Abstract |
1.圧電素子を用いた超精密位置決め技術が注目されている。圧電素子は精密微動が可能であるが、その動作は1自由度に限られるうえ、数ミクロン以下に制限される。その解決策として、複数の圧電素子を組み合わせて多自由度動作を実現し、圧電素子と電磁石を用いたインチワーム機構を用いて大きな変位を得る。2.これまでに、圧電素子と電磁石を組み合わせた自走式スチュワートプラットフォームを開発した。インチワームの原理を用いて、並進2自由度と回転1自由度を可能にした。パラレルメカニズムの原理を用いて、プラットフォーム面の並進3自由度微動、回転3自由度微動を可能にした。プラットフォーム面の角度変位が圧電素子の伸縮程度と微小である問題が残っていた。3.そこで、プラットフォーム面の角度変位を、インチワームの原理を用いて得る機構を提案した。従来は、移動平面上での位置の保持に用いられていた電磁石を、プラットフォームの位置の保持にも用いることにした。これまでは、プラットフォームは圧電素子と固定されていたため、圧電素子の変形程度の微小な角度変位しか得られなかった。プラットフォームの位置の保持にインチワームの原理を採用し、電磁石の吸着と解放を圧電素子の伸縮と組み合わせることにより、大きな角度変位の実現が可能になる。4.プラットフォームを半球状とし、半球状プラットフォームの平面が、制限なく角度変位を実現する構造を提案した。基礎実験によりインチワームの原理を用いてプラットフォーム面に角度変位と並進変位が得られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.平成23年度までに多自由度位置決め機構を製作し、自走式スチュワートプラットフォームとして並進動作・回転動作を行った。そのうえで、プラットフォーム面の移動にインチワームの原理を採用し、プラットフォーム面の平面移動と角度変位を実現することができた。圧電素子の伸縮と電磁石のオンオフのタイミングを制御することで、並進3自由度、回転3自由度のインチワーム動作の基本性能を明らかにすることができた。2.低速動作を実現した。電磁石の吸着力は、電磁石に与えられる電流あるいは電圧の影響を受ける。これまでは直流の電磁石を用いた。そのため、電磁石のインダクタンスのために電磁力のオンオフが低速になったものの、基本的動作を明らかにすることができた。3.一方、半球状ステージの非対称性による重力の補正を試みる予定であったが、現在のところ、動作原理を確認する基礎実験の段階であり、半球状のステージの非対称性による影響が顕著に表れることが無く、重力の補正を行う必要が生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成23年度までに多自由度位置決め機構を製作し、インチワームの原理を用いたプラットフォーム面の平面移動と角度変位を実現することができた。プラットフォームは、圧電素子の伸縮量を変化させることによって、任意の方向に移動することができる。そこで、プラットフォームを任意の方向に移動させることを目的とし、圧電素子の伸縮と電磁石のオンオフのタイミングを制御するコントローラを設計する。プラットフォームを任意の方向に移動することが可能になれば、冗長性の高い多自由度アクチュエータとなり、産業界での利用価値が高まると期待している。2.電磁石の吸着力は、電磁石に与えられる電流あるいは電圧の影響を受ける。これまでは、電磁石のインダクタンスのために電磁力のオンオフの制御周期に限界があった。そこで、制御周波数を高めることを目的とし、交流によって駆動される電磁石を用いることによって、高速な動作を実現する予定である。3.さらに、長時間駆動によって、任意の動作軌跡を描くことが可能である。これによりcontinuous path(CP)制御が可能となる。4.CP制御の実現途中に、重力による非対称性の影響が生じることが明らかになれば、その対策としてフィードフォワード制御を行い、重力の影響の補正を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.前年度までに圧電素子駆動用の電源ならびに顕微鏡を用いた拡大観察用の環境が整った。精密計測用の変位計が不足しており、購入予定である。2.本研究テーマでは、圧電素子と電磁石を用いたインチワーム型の移動機構であるため、圧電素子および電磁石を消耗品として購入する。また、電磁石を自作する際の磁性体コアを購入予定である。さらに、制御回路を製作するための電気回路および製作用機器を消耗品として購入する。3.これまで以上に学会発表を活発に行い、年間3回の学会参加を予定している。現在、投稿中の論文2件があり論文掲載料の支出も予定している。
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Research Products
(12 results)