2011 Fiscal Year Research-status Report
超分散意思決定要素を含む大規模電力システムの安定性理論の構築
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23560310
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 浩海 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10202079)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 電力システム / 需要応答 / 安定性 / 周波数制御 / 時間遅れ / 空調機制御 / アンケート調査 |
Research Abstract |
本研究では、電力消費者を電力システムの新たな制御対象要素とみたときの電力システム安定性理論を構築することを目的として、電力消費者の需要応答のモデル化を試みている。 平成23年度は、電力消費者の意思決定メカニズムを明らかにするため、時間帯別に電気料金を変更した場合の電力消費の仕方について、アンケート調査を実施した。200軒の一般家庭を対象に調査用紙を郵送し、75軒から回答を得た。今年度は、需要応答のモデル化に必要な調査項目と質問内容、および質問の仕方の検討に時間を要したため、調査開始時期が当初の計画より遅延した。そのため、回答の整理と分析を現在行っているところである。 一方、需要応答と強い相互作用を持つ電力システム動的特性の同定に関する研究項目については、電力供給者が多数の消費者に電力システム全体の需給バランス情報を通信システムを用いてリアルタイムに送る際に、その時間遅れが電力システムの安定性に及ぼす影響を電力システムモデルを用いて検討した。使用した電力システムモデルは16.6GWの容量の電力システムを模擬し、また、制御の対象とする電力消費者の負荷機器として、消費者の利便性を損わせにくい空調機を想定した。検討の結果、ある長さ以上の通信時間遅れが生じると、負荷周波数制御系が不安定になることが、ナイキストの安定性判別法と数値計算シミュレーションにより明らかになった。 なお、今年度は、次年度に実施予定の電力消費者特性を計測するための簡易電力システムシミュレータの開発に着手し、Visual Basicを使用してマンマシンインターフェースを製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電気料金に関する電力消費者の需要応答をモデル化するためのアンケート調査は実施できたが、電力品質や発電時のCO2排出量などのリアルタイム情報を提示したときの需要応答については、調査項目、質問内容、質問の仕方の検討に時間を要したため、年度内にアンケート調査を実施できなかった。また、需要応答が電力システムの秒オーダーや十分オーダーの動的特性に及ぼす影響についても、電力消費者の需要応答のモデル化検討が不十分であったためシミュレーションを実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
電力品質や発電時のCO2排出量などのリアルタイム情報を提示したときの需要応答について、調査項目、質問内容、質問の仕方をあらためて検討し直し、早期に2回目のアンケート調査を実施する。また、特に十分オーダーの電力システム動特性に関する需要応答の影響を明らかにするため、十分オーダーの需要応答のモデル開発を急ぐ。 一方、アンケート調査だけでは抽出しにくい需要応答の時間を計測するため、申請者の研究室内に、複数人の電力消費行動を同時に計測できる簡易な電力システムシミュレータを製作し、擬似的な電力消費者に対する実験から需要応答時間の計測を行う。そのシミュレータは電力システムの周波数制御系と電力システムオペレータの意思決定機構を模擬し、過去に申請者が開発したモバイルエージェントシステムなどを利用して、シミュレータを製作する。なお、研究協力者(大学院生2名)の助力を得て、簡易電力システムシミュレータの開発と今年度製作したマンマシンインターフェースの高機能化を図る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)