2013 Fiscal Year Annual Research Report
超分散意思決定要素を含む大規模電力システムの安定性理論の構築
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23560310
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 浩海 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10202079)
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Keywords | 電力システム / 需要応答 / 安定性 / 負荷制御 / 周波数制御 / 電圧制御 / むだ時間 / スミス補償器 |
Research Abstract |
本研究では、消費者が電力単価や電力品質の情報を受け取った時の電力消費行動の変更や負荷機器の消費電力調節(以下、需要応答と記す)に着目し、需要応答を電力システムの周波数制御や電圧制御のための新たなフィードバック制御ループと見たときの電力システムの安定性を明らかにすることを目的としている。この目的を達成するため、最終年度は次の点を明らかにした。 一点目は、昨年度開発した需要応答計測用電力系統シミュレータを用いて、39人の被験者に電力品質劣化情報を与えたときの負荷機器の使用制限協力行動を計測し、需要応答の数学モデルを開発したことである。シミュレータでは、被験者は6.6kV配電線の末端に位置する家に住んでおり、その配電線に連系している太陽光発電の急速な出力変化による電圧低下の発生予測が被験者に事前に通知されるものと想定した。そして被験者はその通知の後、家の中の各種負荷機器の使用の仕方を変更するものとした。計測の結果、電力品質劣化の回避に対する消費者の協力行動の速さを推定するのに、開発シミュレータが有効であることが分かった。 二点目は、需要側に導入された蓄電池群(電気自動車を含む)を利用した配電電圧制御について、制御信号の通信時間や計算処理時間などのむだ時間による制御の不安定化を回避する二つの方法を開発したことである。一つは、電圧制御装置のゲインを安定性と応答速度および制御の仕上がりの点から最適な値に設定する方法である。もう一つは、むだ時間の影響を低減するスミス補償器を電圧制御装置に応用した方法である。これらの方法を6.6kV配電系統のモデルに適用し、その有効性を確認した。 研究期間全体を通じて得られた成果は、需要側機器の制御時間遅れが電力システム全体の安定性を左右する可能性のあること、そしてその解決策としてスミス補償器が適用可能であることである。
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Research Products
(7 results)