2013 Fiscal Year Annual Research Report
対向Φ型コロナ放電電極対を用いる高密度正負イオン群の生成と応用
Project/Area Number |
23560311
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
杉本 俊之 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10282237)
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Keywords | 除電 / イオナイザー / コロナ放電 / 高速 / 低電圧 |
Research Abstract |
高速かつ低電圧まで対象物を除電できる装置として対向φ型構造電極に着目し、新しい原理に基づく除電装置を開発した。これは、対向φ型構造電極を用いて高密度な正負のイオン空間をつくり、その下部に接地したメッシュ電極を配置するものである。メッシュ電極の下部に除電対象物を置くことで、対象物とメッシュ電極との間に静電界を形成し、その電界によって正負イオン空間からメッシュの網目を抜けて必要な極性のイオンが供給されて除電される。その除電原理に基づき除電特性を表現する解析モデルを構築し、除電電流がイオン密度ρ、イオン供給面積A、対象物の電位V、イオンの移動度μ、およびメッシュと対象物との距離hの関数で示されることを明らかにした。さらに、チャージドプレートモニタによって初期電圧V0からV0/10まで減衰するまでの時間T0を測定し、その比I0*=V0/T0(簡易除電電流)を定義することによって、この除電装置の除電性能が横軸にV0、縦軸にI0*をとったときに正比例の関係になることを示すとともに、数点の測定結果からこの関係を導くことが可能であることを示した。実際に上記の除電装置を試作して実験を行い、上記の解析モデルおよび除電特性が妥当であることを確認した。 除電装置を実際に使用する環境では、除電装置の下部を帯電物体が通過するように設置するため、移動している除電対象物に対して十分な除電特性が得られるかを確認する必要があった。そこで、換算除電率Yという新たな除電特性の評価指標を導入し、Yと移動速度vの逆数1/vとが比例関係にあることを証明し、その比例定数が除電装置の性能によって決まることを導いた。また、市販のファンタイプイオナイザーと新型イオナイザーを用いた実験によって両者の除電特性を比較し、新型の方が極めて高い性能を示すことを確認した。
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